高知県議会 > 2021-12-15 >
12月15日-03号

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  1. 高知県議会 2021-12-15
    12月15日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年 12月 定例会(第360回)-----------------------------------        令和3年12月15日(水曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君       38番  桑鶴太朗君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 古谷純代君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第3号)   令和3年12月15日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和3年度高知県給与等集中管理特別会計補正予算 第3号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第4号 令和3年度高知県電気事業会計補正予算 第5号 令和3年度高知県工業用水道事業会計補正予算 第6号 令和3年度高知県病院事業会計補正予算 第7号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県助産師緊急確保対策奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県ホストタウン新型コロナウイルス感染症対策基金条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第12号 公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特別措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第14号 令和4年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第15号 こうち男女共同参画センター指定管理者の指定に関する議案 第16号 高知県立地域職業訓練センター指定管理者の指定に関する議案 第17号 県有財産(南国日章産業団地)の処分に関する議案 第18号 (新)安芸中学校・高等学校校舎棟新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第19号 県道の路線の変更に関する議案 第20号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第21号 令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 公安委員長西山彰一君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員古谷純代さんを職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算」から第21号「令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算」まで及び報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」、以上22件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 5番金岡佳時君。   (5番金岡佳時君登壇) ◆5番(金岡佳時君) 議長の指名をいただきましたので、通告に従いまして順次質問をいたします。 今回は中山間地域の将来についてお伺いをいたします。 昨日橋本議員、そして岡田議員の質問と重複するかもしれませんけれども、よろしくお願いを申し上げます。まず、過疎法について振り返ってみたいと思います。過疎法は昭和45年に最初の過疎法である過疎地域対策緊急措置法が10年の時限立法として制定されて以来、これまで4次にわたり、いわゆる過疎法が制定され、各種の対策が講じられてきました。令和3年4月1日には第5次となる過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法が施行されました。このように過疎対策は50年以上前から問題となり、以来対策が打たれてきておりますが、いまだ解決には至っておりません。 また、1990年前後に、当時高知大学の教授でありました大野晃氏が山村集落の区分概念である限界集落を提唱いたしました。自治体において65歳以上の高齢者が地方自治体人口の過半数を占める状態を限界自治体と名づけ、限界集落はこの定義を細分化したものであります。 本県では、限界自治体に大豊町と仁淀川町が該当すると言われておりましたが、令和2年の国勢調査によれば新たに室戸市、土佐清水市、東洋町が該当するようになりました。そして、その問題は年々深刻化し、田畑や空き家となった家、道すらも草木が覆い、静かに自然に返っていく姿が多くの集落で見られるようになりました。限界集落を超えた超限界集落から消滅集落へ向かうと言われたとおり、消滅集落も見られ始めています。 知事はこの状況をどのように捉えられているのか、御所見をお伺いいたします。 中山間地域には大変長い歴史を持った集落が数多く存在いたします。数百年、中には1,000年以上も田畑を耕し、木を切り出し、家畜を飼い、魚を捕り、獣を捕り、文化を生み、伝え、子から孫、ひ孫へと先人が営々と現代に至るまで生活を営んでまいりました。ところが、高度成長期以降、様相は一変いたします。中山間地域の多くの若者が、第2次産業、第3次産業の旺盛な労働力需要を満たすために都市へと向かいました。その結果、中山間地域の1次産業をはじめとする労働力は激減し、今では集落の維持活動すら困難な状況となっております。 どうしてこうなったのか、要因は数多くあり、複合的なものであろうと思いますが、中でも考えられるのが所得格差であろうと思われます。現在の状況でありますが、令和2年の国税庁の民間給与実態統計調査によりますと、平均給与は433万円で最も高い電気・ガス・熱供給・水道業が約715万円、農林水産・鉱業が約300万円となっております。中山間地域の主力産業である農業を考えてみましても、年収200万円を確保することは至難の業であります。もちろんもっと多くの農業収入を得ている人もおりますけれども、ごく少数であります。50年前からこの構図はあまり変わっていないように思われます。 知事は、中山間地域が疲弊してきた要因をどのように考えているのか、御所見をお伺いいたします。 中山間地域の集落や棚田の役目は終わったのか、存続の意義はどこにあるのかなどを考えなければならないときが来ています。よく言われているのが国土保全機能、そして水源涵養機能、これについては論をまたないと思います。 そして、今回のコロナ禍で浮き彫りになったのが、ウッドショックに見られたように海外からの輸入に頼ることの危うさであります。木材は、直接命に関わることではなく、むしろ国産材の利用拡大につながる可能性もありますが、食料はかなり深刻な問題になると思います。2020年度の食料自給率はカロリーベースで37%となっていますし、近い将来、世界は食料不足になると言われております。今回のコロナ禍で穀物相場が上がり、飼料や輸入肉もかなり値上がりをしているのは報道されているとおりであります。原油価格の高騰に伴う輸送コストの上昇、円安などの要因も重なり、輸入品全体の価格が上昇しています。 中山間地域の田畑は食料供給基地として、将来必ず必要となってくると思われます。また、中山間地域の農業の営みは、美しい風景を生み出しました。さらに、多くの文化を生み豊かな心を育んでまいりました。棚田や里山の風景は日本の原風景であり、日本人の心の原点であると思います。 さらに、南海トラフ地震対策について、津波避難空間の整備や避難所の確保、受援体制の整備、そして生活を立ち上げる対策も進んできているとの報告がありました。しかし、この南海トラフ地震の予測どおりの災害に見舞われますと、沿岸部は壊滅的な被害を受け、東日本大震災の状況と同様に復旧・復興は長期に及ぶと考えなければなりません。そのときの被災者の受皿としての産業はどこに求めるのでしょうか。中山間地域の農林業に求めるしかないのではないでしょうか。 そのように考えますと、中山間地域は高知県にとって極めて重要な地域であり、中山間地域の集落はどうしても失ってはならないもの、後世に伝え残していかなければならないものと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 それぞれの中山間地域の役割を果たすためには、主力産業である農業、林業をしっかり育てていかなければなりません。次世代型ハウスや製材工場、チップ工場など産業インフラの整備を含め、今後どのように取り組んでいかれるのか、それぞれ農業振興部長、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 また、同時に道路等の社会インフラの整備も不可欠であります。今後どのように社会インフラの整備に取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いをいたします。 中山間地域の棚田や畑は、一度荒らしてしまいますと、復元が極めて困難なものとなります。中山間地域の集落は棚田や畑、道路や家屋までもが一体化しており、農業を守ることが棚田や畑を守ることにつながり、ひいては集落を守ることにつながります。したがって、農家所得を上げることが農業や集落を守ることとなります。 どうやって農業所得を上げればいいのでしょうか。生産性を上げること、生産コストを下げること、付加価値を上げることなど市場原理の中で考えますと、不可能と思われる状況に突き当たります。まず、米作であります。生産性を上げるために考えられるのが農地を集約することでありますが、地形や土質を考えると、そもそも地滑り地域である棚田を集約することは非常に難しい課題となっております。 また、平場ですら採算が取れないわけでありますから、生産コストが格段に違う中山間地域の棚田での生産で競争するということは至難の業であります。このような不利な条件を補うくらいの付加価値をつけられるのか、また生活していくに十分な所得を得られる作物を見いだせるのか、多くの農家の皆様方は懸命に努力を続けております。ある若い夫婦が新規就農し、本当に気の毒なくらい必死になって頑張っておりました。しかし、家族が増えたとき農業を諦め、集落を離れました。いわゆる自給自足をしようというような人でなければ、普通に生活をすることは不可能と思われます。 また、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金制度にしても、地域の環境を保持するための人件費であり、所得の向上に直接つながるものではありません。また、新規就農者の設備資金に1,000万円を支給したとしても、即座に新規就農者が増えて集落の一員となり、その土地で農業を続けていってもらうことができるとはとても思えません。 では、どうすればよいのか。中山間地域では、冒頭に申し上げましたとおり、高齢化率が大変高くなっておりますが、比較的元気なお年寄りが多く、農業にしても林業にしても現役で働いております。そして、それぞれの現場で中心的な役割を果たしております。言わば中心経営体であります。その方々のように、今まさに農業や林業を営み、棚田や集落を守っている方々が、できるだけ長く農業を続けられるようにすることが重要なのではないでしょうか。今活躍している方々の収入や生活が都市部の方たちと同等以上のものにすることができれば、それを継いでいく若い方々も生まれてきます。そのために必要な施策を講ずるべきであります。中山間地域の農家に対し、欧米のように所得を補償する制度が最も有効な制度であると思います。 このような制度の導入を強く求めるべきだと思いますが、どのような御所見をお持ちなのか、知事にお伺いをいたします。 もちろん、制度を求めたとしても簡単に導入されるとは思えません。現状では、次世代型ハウスの導入や機械化による省力化、水田センサーなどIoTの利用、さらには最適な作物、それぞれの土地に合うもので、かつ価値の高いものの発掘、そして中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金などの制度を有効的に組み合わせて、少しでも所得の向上と環境の維持活動に結びつけることしかないのであります。 そうすると、制度の活用については、いかに手間がかからないようにするのかが重要となってまいります。制度を導入して、その制度の事務作業などに多くの手間や経費がかかるようであれば、何のための制度か分からなくなってしまいます。いかに事務作業などの負担を軽減していくのかが重要となってまいります。 これらの課題に対してどのように対応していくのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 現場作業の省力化について申し上げれば、中山間地域の農業は総じて厳しい状況にありますが、コロナ禍によって輸入肉の値段が上がるなど、土佐あかうしは比較的希望の持てる状況にあるのではないかと思います。一方で、輸入飼料も高騰しており、対策に苦慮していると聞いているところでもあります。 耕作放棄地は年々増え続け、集落協定面積は減り続けています。そこで、棚田などの耕作放棄地を放牧場にというアイデアも生まれていますが、電柵などの設備、水飲み場をどのようにするのか、あぜやのり面は崩れないかなど、多くの懸念があり実現はされていません。単純に考えれば、牛を放牧した面積は協定面積に入り、耕作放棄地の雑草は牛の餌となり牛が処理をしてくれます。利用の仕方は違いますけれども、棚田は維持をされるわけでありますので、農地の維持に非常に有効的な方法であると思います。 農家の皆様が取り組みやすいように、特別な支援策を講じて強力に進めていくことはできないか、農業振興部長にお伺いをいたします。 また、中山間地域等直接支払交付金の集落協定に参加していない農家は、交付金を受けることができません。こうした農家については、ある意味、農業をやめなさい、その地域は存続を諦めてくださいと言っているのと同じであります。 こうした農家に対してどのような支援をしていくのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 そもそも、中山間地域の問題は人がいないということであります。人・農地プランは、地域の農業、農地を子供や孫の世代にしっかりと引き継ぐためのプランであり、それを取り巻く伝統や文化、自然景観などと一緒に将来に引き継ぐものと思いますが、中山間地域ではもう既に若い世代はなく、人・農地プラン中心経営体、そして集落協定に参加している農家や集落営農組織の中心的な方々も、ほぼ60代、70代が中心で、中には80代から90代にかけての方々も活躍しておられます。 このように高齢者が中心経営体となって、地域の農地を維持する状況になっておるわけでございます。したがって、その方々がやめれば、その地域の維持もできない状況となります。新規就農者が入ってくれるにしても、それまでは高齢者の中心経営体が農地を維持していかなければなりません。その方々にいかに長く活躍していただくかが、その地域を長く存続させることにつながります。若い方々が就農し、地域を支えていただくことが理想ではありますが、今すぐに実現するとは思えません。そして、中山間地域の一部では手後れの感すらあります。直ちに支援策を講じなければなりません。 今、それぞれの組織で活躍をされている方々をどのように支えていくのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 これらの方々は大変お元気であります。中山間地域で農業を営んでいる高齢者の方々は、ほとんどいわゆる福祉のお世話にはなっておりません。全て自分自身の力で生活をしております。そう考えますと、そういう方々を直接支援することは福祉政策となってまいります。 福祉政策の観点から、それぞれの組織や地域で活躍をされている方々の支援をどのように考えているのか、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 中山間地域の集落が存続していくための理想は、若者が定住していくことであります。その土地で生まれ育ち、今までのように子から孫、ひ孫へとつないでいただければと願いますけれども、かなうべくもありません。今、県が進めている移住・定住策に一縷の望みをかけている状態であります。 その中で、空き家を有効活用するための支援を多くの方々が望んでいます。空き家になって長い時間がたちますと、屋根や軒は落ち、壁は剥がれるなど、手がつけられない状況となり、後は崩れていくのを待つだけとなります。周りにある道路や田畑も草木に埋もれて手の施しようがないようになります。言うまでもなく、そのようになったところに移住できるはずもなくなります。 そこで、そのような状況になる前に田畑や住居を活用できるように、市町村が各集落の全戸を対象に田畑や住居を将来どのようにしたいのかを問う意向調査をやる必要があります。もちろん、現在空き家になっている家の管理をしている方を含めてやれば、地域の将来も見据えられますし、その情報によって民間事業者や移住希望者も積極的に動くことができます。 空き家を有効活用するために、市町村による住居や田畑を将来どうしたいのかを住民に問う意向調査を積極的に進める支援を行うべきであると考えますが、土木部長、農業振興部長の御所見をお伺いいたします。 中山間地域で生活をしていくということについては、都市部では考えられないことが数多くあります。近くに学校もなければ、保育園も買物をするところもなく、十分な公共交通網もありません。したがって、車を使うことが中山間地域に住むための必須条件となります。高齢者の運転免許証返納がよく話題になっておりますけれども、免許証の返納はその地域で住むことを諦めることにほかなりません。車を使うことを前提条件に、中山間地域で暮らしていくことを考えなければなりません。 とするならば、道路整備が最重要課題となりますが、全ての道路を改良するとなると莫大な整備費用がかかり、現状では迅速な整備ができるとも思えません。がしかし、その土地で住むためにはどうしても必要なことでありますし、命に関わる問題であります。 中山間地域の道路はどこも危険でありますが、特に転落の危険性がどこでも付きまといます。さらに、その危険性は車が行き会い、どちらかがバックをしなければならないときに極めて危険な状況になります。そのような事態にならないように、行き違いができるような待避所や道路幅が必要となります。その上で途切れのないガードレールなどの安全施設の整備が急がれます。最近では、中山間地域の道に慣れていない観光客が転落、死亡するといった事故も起こっております。 町村道の整備までは困難であろうと思いますが、豪雨災害時に避難道となっている国道もあります。せめて国道や県道については早急に整備をしなければならないと思いますが、土木部長の御所見をお伺いいたします。 中山間地域の状況と厳しさについては認識をされ、将来に向けた対策ということで、人・農地プランが立てられ、進められていることは承知をしておりますが、高知県は少子高齢化・過疎化問題では課題先進県であります。従前からある一律の施策で対応できるとは思えません。今行われている施策の先を行く施策を考えなければ、手後れになってしまいます。田畑や家が草や木々に覆われて自然に返っていく光景があちこちで見られ始めています。この現実に向き合い、対策を取っていただきますようお願いを申し上げます。 次に、林業についてお伺いをいたします。 高知県の多くの山林は10齢級から12齢級となっております。かなり大きな木も見られるようになりました。そのまま伐採せず大きな木にするという考え方もあるようですが、木が非常に大きくなり過ぎますと搬出も大変になると同時に、目の詰んだ材木以外は高価な銘木にはなりません。そればかりか、山の斜面にある木が大きくなり過ぎますと、暴風雨による災害が起こる可能性も高くなります。 本年5月から始まった木材の高騰、いわゆるウッドショックは、中国や欧米諸国の市場高揚による針葉樹需要が増加し、欧米では輸出から域内供給が優先され、日本市場への木材供給を削減せざるを得なくなったことが根底にあり、特に米国は2021年1月から9月の新設住宅着工戸数は累計121万3,600戸で、前年同期比19.5%増となり、代表的資材であるカナダ西部内陸産の4月積みSPFツーバイフォー材が史上初の1,000ドルに乗り、一気に北米市況が値上がりし、最高値は1,800ドル近くまで暴騰しました。 そして、同様の市場現象が欧州域内でも起き、安定供給先である日本よりも域内での市場供給を優先するようになったことが大きな原因で、国産材製品もそれにつれて値上がりし、3月に比べ9月には2倍以上の値がついております。丸太も同様の値動きとなり、製品は現在も高止まりで推移しており、丸太も杉は若干下げたものの、ヒノキは製品同様、高止まったままであります。これによって今まで厳しい状況にあった林業業界も息を吹き返した格好で、製材業界は活況を呈しています。 ほかにも山林労務者の伐採現場や港湾荷役労働者の出勤制限などで素材生産量の減少、港湾荷役作業の停滞、船舶稼働率の低下、原油価格の高騰、コンテナ不足などがあり、いましばらくはこの状況が続くと思われますので、これを機にこの状況の固定化を図らなければなりません。 今回のウッドショックで、多くの外材を取り扱っていた業者が国産材にシフトしたと聞いております。まずはこの方々に引き続いて国産材を扱ってもらうことが重要であります。それには安定供給ができるサプライチェーンの確立が重要となります。その中で川上の問題点として、伐採従事者の確保が問題となります。 伐採従事者の確保について県はどのような対策を講じているのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 どの業界にも通じることですが、人材の確保について言えることは、労働に対して対価が安い業種に人材は集まらないということであります。伐採従事者の給料、収入を上げることが人材の確保につながります。 県下の林業事業所の平均給料、伐採従事者の平均収入は幾らなのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。そして、その給料や収入を上げるためにどのようなことを行っているのか、林業振興・環境部長に併せてお伺いをいたします。 また、木質バイオマスについても、バイオマス発電施設の増加によって大量に使用されるようになっております。これは今後とも増加をすると思われます。特に、FIT制度を使っている業者は未利用材を使わなければならないということで、未利用材は奪い合いの状況になっていると言われております。 木質バイオマスの安定供給についてどのように進めていくのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 原木価格の高値安定、伐採従事者の確保、搬出手段の充実などが図られれば、国産材の持続的安定供給が可能な基盤ができます。また、木材需要を安定化するために、国産材を取り扱っていただくようになった業者の方々に、引き続いて国産材を扱っていただかなければなりません。 それらの業者の注文にどのように応えていくのか、さらに大阪万博などで活況となる関西圏での木材利用に対応する建築事業者や一般ユーザーに対し、土佐材への理解をどのように深めていくのかなど、高知県林業を安定したものにするためにどのように取り組んでいくのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 伐採をした後そのまま放置するわけにはまいりません。山を自然に返すという選択肢もないわけではありませんが、それぞれの中山間地域で人が住むということになりますと、そこでそれなりの業が必要となります。先人が残された林業も受け継がさせていただいて、未来に残せるものは残していかなければなりません。と考えれば、再造林は必須となります。 再造林については何度か質問をさせていただいております。再造林率はおおむね40%程度で推移をしていると思いますが、平成30年9月議会の質問で、再造林率が40%にとどまっている理由について、主伐時の森林所有者の収入に当たる山元立木価格が低下をしており、再び森づくりを行うことが資産形成面でプラスイメージを持てなくなっていること、高齢化や不在化などで所有林を適正に管理し、次世代に継承していくことが困難になっている中、育成に長期を要する人工林を造成することを回避しているのではないかという答弁があり、再造林を進めるためには、山元立木価格を高めて山に再投資する意欲を高めることが必要で、路網整備や高性能林業機械の導入を進め、原木生産コストの低減を図る、あわせて産業振興計画に基づき加工体制や販売体制の強化、木材需要の拡大にも取り組んでいく、さらに主伐後の森林を育成するためのコスト低減として、伐採と一体的に行うことで作業を効率化する一貫作業システムやコンテナ苗の導入などを進めていく、加えて所有者による適正管理が行われていない森林については、市町村に経営管理を委託できる森林経営管理法のスキームを支援していく等の答弁がありました。 現状はどのようになっているのか、さらに問題点はどこにあるのか、今後どのように進めていくのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 皆伐を中心に原木の増産をしていくと思われますが、再造林については、今まではいかに再造林をしていただくか、再造林を促す条件づくりに力を注いでおりましたけれども、もう一つ大事なことは、この高知県の未来の山の姿をどのようなものにするのか、持続可能な林業をどのように確立するのかというようにデザインをすることが求められていると思います。従来からあります優良な建築用材、近頃急速に需要が増えてきている木質バイオマス、シイタケ原木や備長炭用の原木、さらには特殊な建築用材など多種多様な需要が生まれてきています。それに応じた対応が求められておりますし、単一樹種による危険性、さらに有害鳥獣の問題もあります。 それらを考えますと、高知県全体を一つのフィールドと捉え、各地域の地質や地形、高度や気象条件を勘案し、山林所有者や各市町村の意向を聞きながら、南受けの斜面には成長の早い早生樹を、北受けの斜面には建築用の樹木を、さらにシイタケ産地にはクヌギを、山の頂上付近は自然に戻し、獣たちのすみかにというようにゾーニングの必要があるのではないかと思いますが、林業振興・環境部長の御所見をお伺いいたします。 また、業として持続可能な山づくりもしていかなければなりません。コウヨウザンのような早生樹によりバイオマス需要を満たし、かつ資源の枯渇のないようにしなければなりません。木質バイオマスは発電所ができれば、廃止されるまで一定量確実に需要が見込まれます。また、杉、ヒノキのような建築用材も必要であります。経済性を持たせながら持続可能な山づくりをしていかなければなりません。 持続可能な林業の姿を具体的にどのように描いているのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 次に、プラスチックごみについてお伺いをいたします。 これについても平成31年2月議会と令和元年6月議会にお伺いをしています。そのときの答弁では、環境省の調査結果として、海水1立方メートル当たりに含まれるマイクロプラスチックの量について、土佐湾中央部で2.366個、足摺沖で6.189個、室戸沖の東側で0.04個、西側で7.66個となっているということでありました。さらに、海洋動物や人体への影響や回遊魚への影響について、今後明らかになってくるとの答弁でありました。 2年を経過してそれぞれどのような情報が入っているのか、そしてそれらに対しどのような対策が取られているのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 プラスチックごみは、2年を経過しても減ることはありません。今まで出されたものの上に重ねられるわけですから、経過を見ていればよいというわけにはまいりません。プラスチックごみを出すことをやめる以外に方法はないわけであります。確かに日本のプラスチックごみの発生量は、中国や東南アジア諸国と比べると少なく、影響は小さいものかもしれませんが、出している限りは、汚染を進めていることに変わりはありません。今すぐに少しでもプラスチックごみを出さないようにすることが必要であると思います。 高知県は自然を観光資源としておりますし、林業を基幹産業にしている県でもあります。そこで、レジ袋は紙袋に、発泡スチロールのトレーは木製の舟皿やトレーに、プラスチックのストローやスプーン等を紙製品、木質由来のものへと県を挙げて替えていくことを推奨できないかと考えるところです。 プラスチックごみの対策をどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたしまして、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 金岡議員の御質問にお答えをいたします。 まず、消滅に向かうとも言われる集落の現状認識についてのお尋ねがございました。 議員のお話にもございましたように、令和2年の国勢調査におきましては、65歳以上の人口構成比が50%を上回る市町村が県内で5団体となり、前回の調査を3団体上回る結果となりました。こうしたことからも、集落単位で見ましても65歳以上の高齢者が過半数を占めるような地域が増加しているものと推測をされます。また、人口減少と相まちまして、集落の小規模化がより一層進行しているものというふうに認識をしているところでございます。 あわせて、集落実態調査におきましては、集落の維持が困難となる水準と一般に言われております50世帯未満という集落の規模に着目をして、調査の対象集落を設定いたしております。10年前の調査に比べてこの対象集落数が一定増加をしているということから見ましても、集落維持の困難性がさらに高まっているというふうに考えております。 こうした集落におきましては、とりわけ地域活動の担い手不足を要因とする集落の活力の低下でございますとか、生活環境の不便さなどが著しく、これが大変厳しい現状にあるというふうに感じております。具体的に申しますと、例えば草刈りなどの共同作業あるいは集会所などの維持管理ができないといった課題、あるいは通院や日用品の確保が困難で、これが原因で集落に住み続けられないといったような深刻な課題が生じてきているというふうに認識をいたしております。 次に、こうした形で中山間地域が疲弊をしてきた要因についてどう考えるかというお尋ねがございました。 昭和30年代以降の日本経済の高度成長は、農山村を中心といたします地方から都市へと急激な人口流出をもたらしたものと考えております。すなわち、農山村におきまして主に第1次産業に従事をしておりました人々が、新規の学卒者を中心に第2次・第3次産業を主産業といたします都市部に急速に吸収されるという経過をたどったものと考えております。 特に、本県の中山間地域におきましては、農地が狭く、傾斜地が多いといったようなことから、生産条件が厳しいという状況にございます。こうした中で、十分に所得を上げることができないという状況にございました。このため、製造業などのより稼げる仕事を求めて、都市部への流出に拍車がかかったというふうに考えられるところであります。 このように、中山間地域におきましては担い手を失うということで1次産業が停滞をし、それがさらなる人口減少を引き起こすという、いわゆる負のスパイラルに陥ってまいったような形になっているというふうに考えております。こうしたことが本県の中山間地域が疲弊をしてきた主な要因であるというふうに考えております。 次に、中山間地域の重要性についてのお尋ねがございました。 中山間地域は、御指摘もございましたように、都市部への水や食料の供給源であります。あわせまして、農地や山林の保全により、下流域も含めた県土全体の防災・減災の機能も有しております。そうした意味で、県民の生活を支える大切な役割を担っているというふうに考えております。 また、現在我が国全体が脱炭素化によりまして持続可能な社会の実現を目指すと、そういった中にございます。こういった中で、中山間地域は、環境に優しい素材であります木材の供給でございますとか、太陽光あるいは風力、水力といった再生可能エネルギーを生み出す資源の供給源ともなっておるわけでありまして、そうした意味でこのSDGsが説かれる時代におきましての中山間地域の持つ役割というのは、ますます大きくなってきているというふうに認識をしております。 さらに申し上げますと、豊かな景観や食、歴史、伝統芸能をはじめといたしました文化などの地域資源は、観光面におきましても都市部から人を引き寄せる大いなる魅力となるというふうに考えております。 中山間地域が今後ともこのような重要な役割を果たしていくというためには、この中山間地域で連綿と受け継がれてまいりました美しい自然や伝統などを、しっかりと後世に引き継いでいくということが必要であります。そして、そのためには何よりも今後も中山間地域に人が住み続けられる、そういう環境を整えていくということが不可欠であるというふうに考えているところであります。こうした観点から、中山間地域において産業の振興、生活環境の整備を進めるということによりまして、集落を維持・活性化していくということが急務であるというふうに考えているところであります。 次に、中山間地域の農家の所得を補償する制度の導入を国に求めることについてお尋ねがございました。 現在、県におきましては小規模集落を対象とした実態調査を実施しております。その中での回答を見ますと、かつての主要産業として多数を占めました農業と林業は、8割以上の集落で衰退をしているというふうに認識をされておりますし、また後継者は4割の集落で存在をしないといったような回答が行われているという状況でございます。こうした大変厳しい状況の中にございまして、中山間地域の基幹産業であります農業を守り、次の世代に引き継いでいくというためには、対策をさらに強化していく必要があるというふうに考えております。 この点、お話にございました欧米の所得補償制度は、輸出の競争力の強化を目的として設けられた制度でありまして、農作物の価格を低水準に抑制して輸出の競争力を持たせるという一方で、農家の収入については、直接支払いで補填をすると、そういった仕組みが取られているところでございます。この制度を、輸出の割合が低く、欧米とは農家の経営規模や土地の条件などが大きく違う日本にそのまま導入するということは、難しいのではないかというふうに考えます。 一方、現在我が国におきましては、農家の経営を安定させて生産活動を維持するために直接的に支援をする制度として、経営所得安定対策や、御紹介もありました中山間地域等直接支払制度などの制度がございます。これらは、お話がありました欧米などの諸外国の制度も参考にしながら、日本の農業の実情に合った制度として創設がされたものというふうに認識をしております。 県といたしましては、こうした様々な制度を有効に活用して、生産条件が不利な中山間地域などにおきましても農業生産活動を継続していただけるように、引き続き支援をしてまいります。 あわせまして、本県の農業がもっともうかる農業、もっと楽できる農業となりますように、デジタル技術なども活用いたしまして、生産性の向上、省力化を行うということを支援していくなど、今後とも様々な施策を総動員して取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、プラスチックごみ対策をどのように進めていくのかというお尋ねがございました。 本年6月に、海洋プラスチックごみでございますとか気候変動などの問題を背景といたしまして、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が制定をされました。来年4月から施行の運びとなっております。この法律におきましては、プラスチック廃棄物などの排出抑制に加えまして、資源循環の促進などによりますプラスチックの使用削減に取り組むということとなっております。 これによりまして、例えばストローや使い捨てのスプーンなどといったいわゆるワンウエープラスチックの使用を削減するということのほか、市町村におきますプラスチック廃棄物の分別収集の促進が期待をされるところであります。こうした取組を国を挙げて推進していく中で、御提案がございましたプラスチック代替素材への転換につきましても進展をしていくものと考えているところであります。 県といたしましても、国全体の動きを踏まえ、まずは市町村によるプラスチック廃棄物の分別収集が徹底をされますよう、情報提供や助言などを行ってまいります。あわせまして、法律の施行に伴い市町村負担も生じてまいりますので、こうした負担への財政支援につきましても、全国知事会を通じて国に要望してまいります。 また、本年4月に策定いたしました第5次の高知県環境基本計画におきましては、新たにプラスチックごみ対策の項目を追加し、海洋プラスチックごみのさらなる削減などを進めてまいります。 あわせまして、御指摘のありましたプラスチックの代替素材の問題に関して申しますと、産業振興計画の新たな連携テーマといたしましてのプロジェクトをこの点について立ち上げたところでございます。工業分野を中心といたしまして、農林水産業の各分野と連携をしていくことで、紙や木材などを活用したプラスチック代替素材の研究開発を進めていく、さらにはこの活用促進に取り組んでいくということを考えております。 環境負荷の少ない循環型社会の実現に向けましては、リデュース、リユース、リサイクルの3Rの啓発や、資源の有効活用などの息の長い取組が重要となってまいります。引き続き粘り強く取り組んでまいりたいというふうに考えております。 私からは以上でございます。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、中山間地域の農業振興に向けた今後の取組についてお尋ねがございました。 中山間地域の農業は、農地が狭く傾斜地が多いなど生産条件が厳しいことから、その特性を踏まえ、振興を図っていくことが重要と考えております。具体的には、次世代型ハウスをさらに進化させるNext次世代型の取組では、大規模な経営体だけでなく、中山間地域において大半を占める家族経営体も生産性の向上や省力化に取り組めるよう、開発を進めているところでございます。また、中山間地域の限られた農地の有効利用を図るため、小規模な圃場整備や狭地直しなども積極的に支援してまいります。 こうした生産性の基盤となるインフラの整備に加え、スマート農業の普及促進による省力化や効率化、さらには今年度末に策定予定の土佐茶振興計画に基づく土佐茶の振興など、中山間地域に適した作物の振興を図ってまいります。 中山間地域の農業は、本県の農業産出額の約8割を占める大変重要な産業であり、また多様かつ魅力ある食を生み出す源泉でありますことから、今後もこうした施策を一層強化しながら取組を推進してまいります。 次に、中山間地域等直接支払制度などの事務作業の負担についてお尋ねがございました。 お話にありましたいわゆる日本型直接支払制度は、農業・農村の持つ多面的な機能を維持するために大変重要な施策である一方で、事業が年々拡充していく中で、より複雑な制度となってきており、これに伴い、地域における事務作業の負担も増えてきております。このため、国の事業ヒアリングなどの際には、こうした地域の実情を説明するとともに、事務作業の負担軽減につながる簡易な制度にしていただくよう要望しております。 また、事務作業の負担が原因で地域が活動を断念するようなことがないよう、事務作業の外部委託に加え、地域内の人材の積極活用を提案しており、三原村2地区の集落協定では交付金の事務を集落活動センターが担当したり、本山町全体の多面的機能支払交付金の事務局を農業公社が担ったりする事例が増えてまいりました。 県としましては、本制度を有効に活用し、農業・農村の活性化につなげてまいりたいと考えておりますので、こうした事例を市町村の担当者説明会や活動されている方々が参加する研修会などの場で周知しますとともに、国に対して引き続き制度の改善を要望してまいります。 次に、耕作放棄地の放牧利用についてお尋ねがございました。 県では、平成2年から土佐町をはじめ四万十町、東洋町、土佐清水市などの耕作放棄地において、農家や畜産試験場の牛による放牧の現地実証を重ねてまいりました。この実証を通じて、耕作放棄地対策として放牧が有効であるとともに、飼料代の削減や牛の健康状態など牧場経営の面での効果や、野生鳥獣による農作物被害の軽減効果などにも期待できることを確認したところであります。あわせて、耕作放棄地を活用するために必要な電気柵の設置方法や、牛の水飲み場の確保対策などのノウハウも蓄積してまいりました。 一方で、耕作放棄地で放牧を継続するためには、ある程度の広さの農地や牛を運ぶための道路が必要であること、放牧中には栄養不足が生じやすいため、補助的に飼料を与える必要があることなども分かってまいりました。 県としましては、耕作放棄地の放牧利用の推進に向けて、取組の意向がある畜産農家に対して、技術的な支援や国の補助事業を活用した電気柵、給水施設などの整備への支援を行ってまいります。 お尋ねのありました特別な支援につきましては、まずは畜産農家などにこれまでの実証結果を伝えて、地域のニーズや課題を掘り起こしていく中で、より取り組みやすい支援策を検討してまいります。 次に、集落協定に参加していない農家に対する支援についてお尋ねがございました。 中山間地域等直接支払制度は、平地と中山間地域等の生産条件の格差を補うことを目的としておりますので、条件等はございますが、中山間地域の農業を守るために頑張られている多くの方にこの制度を御活用していただきたいと考えております。協定集落では、毎年活動内容などを決める話合いをしておりますので、そうした際に制度の活用を希望される農家の方の協定への参加の検討を促すなど、市町村と連携し、既存の集落協定の広域化や新たな集落協定の締結を推進してまいります。 また、直接支払制度以外にも、ハウス整備や生産性の向上への支援、中山間地域に適した品目の栽培支援、さらには農業用機械の共同利用や農作業の共同化への支援など、様々な支援策を用意しております。引き続き地域で意欲を持って農業に取り組んでいただけますよう、これらの施策を個々のニーズに合わせて最大限活用して支援してまいります。 次に、それぞれの組織で活躍されている方々への支援についてお尋ねがございました。 中山間地域では、多くの若者が域外に流出し、60代以上の方々が営農や地域の活動において中心的に活躍され、また幾つもの役割を担っておられます。大変な御苦労がおありだろうと頭が下がる思いであります。今後も当面の間人口減少が続くことが見込まれる中、こうした活動を継続していくためには、地域内での協働や地域外との連携といった地域全体で支えていく仕組みづくりや、デジタル技術を活用した省力化、効率化を進めていくことが重要と考えております。 まず、仕組みづくりに関しては、中山間地域等直接支払制度の集落協定や集落営農組織などにおいて地区の広域化や組織間連携を推進しており、現在35の連携の仕組みが構築され、具体の取組が進められております。また、現在国が検討しております農村RMOは、複数の組織が農地の保全や地域資源の活用、生活支援といった様々な活動を連携して推進するという新たな仕組みであり、本県でも積極的に推進してまいりたいと考えております。 次に、省力化、効率化に関してはスマート農業の普及を促進しており、ドローンによる防除面積は令和元年の275ヘクタールから、今年度末には700ヘクタールを超える面積にまで拡大する見込みであります。今後もこうした施策の充実をさらに図りながら、取組をさらに加速することにより、それぞれの組織で活躍されておられる方を支援してまいります。 最後に、田畑の将来の意向に関する調査についてお尋ねがございました。 現在、市町村では、人・農地プランの実質化や中山間地域等直接支払制度の集落戦略を策定する際に、農地の所有者や耕作者に対して5年から10年後における意向調査を実施しております。また、市町村の農業委員会では定期的に営農意向調査を実施し、農家の意向の把握に努めているところでございます。これにより、現在耕作されていない田畑や、将来耕作されなくなる田畑が把握されております。県としましては、意向調査の結果が反映された人・農地プランや集落戦略の実行、農業委員会による農地利用最適化活動などの取組を支援してまいります。 なお、空き家に付随した農地につきましては、農業委員会の判断で通常より小さい面積での取得が可能となっており、この制度を活用して農地つき空き家の提供を行い、移住者を呼び込む自治体も増えてきております。県内でも香南市や香美市において活用されており、本制度のさらなる活用も含め、市町村と連携を密にして農地の有効活用に取り組んでまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) まず、中山間地域の役割を果たすための製材工場などの産業インフラ整備についてお尋ねがございました。 良質材を加工する製材工場や、低質材を発電用や製紙用の原料として加工するチップ工場などでは、一定量の木材が安定的に利用されますことから、その整備によりまして間伐などの森林整備が促進され、またその結果として、水源涵養や国土保全機能など、議員御指摘の中山間地域の役割が将来にわたり維持されることにもつながるものと考えております。 このうち、製材工場につきましては、既存の工場の規模拡大や乾燥施設の整備などにより、品質の高い製材品の生産力を高める取組を支援してまいります。また、事業者の共同による規模の大きな製材工場の整備を目指し、県内事業者の連携や協業化を進めてまいります。一方のチップ工場についても、今後の大きな需要先と考えられる木質バイオマス発電の状況や、原料となる低質材の生産状況を注視しながら、ニーズに応じた施設整備を支援してまいります。 ただ、いずれにいたしましても、新たな工場を整備し安定的に稼働させるためには、原木の増産が重要でございます。このことから、搬出間伐とともに皆伐施業地への作業道の開設、林地残材の搬出支援などによりまして、全体の原木生産量の拡大を図り、低質材の出荷量も増やすというように取り組んでいるところでございます。 こうした取組によりまして、木材の加工・利用施設の整備を進め、良質材から低質材まで余すことなく木材を活用することで、中山間地域の主力産業である林業の振興と森林の多面的機能の発揮につなげてまいります。 次に、伐採従事者の確保についてお尋ねがございました。 林業における伐採従事者の確保につきましては、担い手の育成・確保として産業振興計画の柱の一つに位置づけ、林業大学校や高知県林業労働力確保支援センターを中心に取り組んでおります。平成27年度に開校した林業大学校の令和2年度末時点での木造設計コースを除く卒業生、これは108人で、うち県内事業者への就職者数は97人となっており、また労確センターを通じた同期間の就業者は39人となっております。しかしながら、昨今の木材需要の高まりへの対応、あるいは産業振興計画の目標を達成するためには、こうした従来の取組をさらに強化する必要があると考えております。 このため、今年度9月補正におきましては、市町村と連携した、現場作業を主体とした就業前研修、これを支援する制度を創設いたしました。また、林業の機械化やデジタル化が進み、女性なども参入しやすい労働環境となってきたこと、小規模林業に取り組む移住者なども増加しているという状況を踏まえまして、今後は様々なニーズに的確に対応できるような相談体制を充実させる、こうしたことなどによりまして、さらなる強化に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、本県の林業事業所の平均給料、伐採従事者の平均収入は幾らなのか、また給料や収入を上げるためにどのようなことを行っているのかとのお尋ねがございました。 県内の林業事業所の平均給料や平均年収に関する統計データはございませんが、令和2年度に全国森林組合連合会が県内の事業体を対象に行ったアンケート調査の結果によりますと、回答のあった34事業体では、20代の平均年収は約280万円、30代から50代では平均手取り年収という調査であったようでございますが約350万円となっております。また、平成29年に林野庁が行いました同種の全国の林業従事者調査では、年間平均給与は343万円、全産業との格差が縮まっているとはいえ、平均に比べますと90万円程度低く、特に30代から50代にかけては差が大きくなっているという状況でございました。 このため、事業量を確保して経営基盤を強化し、その上で着実に利益を生み出し、従業員の給与改善にもつなげていく、こうした経営体制を構築するため、令和2年度からは林業事業体に対する事業戦略の策定、そしてその実践支援を行っているところでございます。 引き続き、こうした取組を進めますとともに、安全対策の徹底など労働環境改善などの支援、加えまして中堅職員の給与の増加にもつながると考えられる能力評価制度の導入などについても支援をし、若者が就業したいと思う魅力ある林業事業体の育成に取り組んでまいります。 次に、木質バイオマスの安定供給をどのように進めていくのかとのお尋ねがございました。 本県の木質バイオマス関連施設への原木の供給量は、令和2年で14万立方メートルとなりまして、平成27年、大規模木質バイオマス発電所が稼働した当時6万8,000立方メートルから大きく増加しております。今後、新たに整備される施設も含めまして、県内には幾つかの木質バイオマス発電施設が検討されておりますので、木質バイオマスの需要はますます高まっていくことが想定されております。 こうした施設に供給される木質バイオマスは、原木生産の過程で生じる低質材が中心となります。そのため、先ほど申しましたように、全体の原木生産量の拡大を図りながら低質材の出荷量を増やしてきております。 他方、FIT制度におきましては、保安林や森林経営計画に基づき出材された原木を未利用材として位置づけ、この未利用材により発電された電気は高い売電単価が適用されるということになっております。しかしながら、県内の民有林における森林経営計画の認定割合は約13%にとどまっているという状況でございまして、県としては森林資源情報のデジタルデータ化を活用しまして、林業事業体の皆様が樹種や蓄積など事前に確認し、効率的な森林経営計画の策定ができるよう取組を進めております。 こうした取組を通じまして、FIT制度に適合した未利用材などの木質バイオマスの供給量の増加を図ることで、その安定供給につなげてまいります。 次に、本県林業を安定したものにしていくための取組についてお尋ねがございました。 御質問にありました、輸入材の減少を補い、国産材にシフトした事業者に引き続き国産材、県産材を使用していただくための方策として、まず品質の確かな製材品の供給能力を向上させること、これが必要だと考えております。 このため、6月補正予算によりましては、製材事業者が新たに生産事業者と協定を締結し、緊急的に原木を調達する取組を支援し、また9月補正予算では、既存の製材工場が緊急的に行う木材乾燥施設、この整備を支援することといたしました。来年4月には、四万十町でJAS製材品を生産する新たな工場も稼働いたしますが、こうしたさらなる加工力の強化に向けまして、製材事業者の皆様の施設整備を支援してまいります。 また、こうした加工力の強化に伴い増産されました県産材製品の販売の拡大でございますが、本年度から県の関西戦略の取組の中で、TOSAZAIセンターに新たに関西駐在員を配置いたしました。この駐在員及び大阪事務所と共に、大阪万博など経済の活性化が期待される関西圏の流通拠点企業あるいはパートナー企業と連携しましてPR活動などを行い、土佐材への理解を促進し、外商をさらに拡大してまいりたいと考えております。 さらに、新たにこうした県産材の取組に至った事業者との関係、これを継続していくためには、そのニーズに対応できる、安定的に製品を供給できるサプライチェーン、この構築が重要となってまいります。高知県サプライチェーンマネジメント推進フォーラムの取組によりまして川上と川中のマッチングを進め、その中で情報共有システム等を活用したサプライチェーンマネジメントの取組支援や、他地域への横展開にもつなげてまいりたいと考えております。 次に、再造林の前回答弁時と比べました現状、問題点、今後の取組につきましてお尋ねがございました。 まず、再造林面積につきましては、平成29年度答弁時の246ヘクタールに比べて、本年は約270ヘクタール、率にして約10%増加しております。一方、再造林率でございますが、こちらは原木の増産に伴い、皆伐面積、母数のほうが増えたこともありまして、3か年平均で38%にとどまっている状況でございます。 また、この間の山元立木価格の伸びでございますが、杉では全国平均は約1.1倍でございますが本県は1.22倍、ヒノキは全国平均1.15倍に対して本県は約1.16倍、若干平均を上回っているという状況でございます。 また、これまでの再造林に関する取組について申し上げますと、まず造林コストの低減ということで、苗木運搬用ドローンの導入支援、コンテナ苗の生産比率の向上、あるいは市町村の再造林補助の上乗せに対する要請などを行ってまいりました。加えまして、各林業事務所には増産・再造林推進協議会を設置し、地域ぐるみでの再造林への働きかけを実施しておるところでございます。 しかしながら、先ほど申しました本年度の再造林面積、近年では最大と見込んでおりますものの、再造林率の目標達成はなかなか厳しいと考えております。その最大の要因といたしましては、全国平均より伸びたとはいいましても、山元立木価格、これが森林所有者の方が山へ再投資をしようと考えていただけるほどの水準に至らなかったこと、またそのために将来にわたって森林を管理する次世代、これが依然十分に育っていないことなどが考えられます。 こうした現状を踏まえますと、林業を持続可能な成長産業にしていくため、再造林率の向上などに向けました川上、川中、川下の関係者、これが連携した仕組みを構築する必要があると考えております。再造林の促進に取り組む先進地事例もございますので、こうした事例も参考にしながら、森林の集約化から伐採、再造林までの一括管理といった機能も視野に入れました新たなサプライチェーンマネジメントにつきましても研究してまいりたいと考えております。 次に、県全体のゾーニングの必要性についてお尋ねがございました。 森林の有する公益的機能と木材等生産機能を将来にわたり高度に発揮していくために、森林の整備や保全を進め、地域に適した多様な森林へと誘導していくこと、これは大変重要であると考えております。国の森林・林業基本計画におきましても、森林の有する多面的機能の発揮、林産物の供給及び利用、この両方の観点から、森林整備が適切になされ、多様な森林がバランスよく形成されることの必要性が示されております。 また、県の地域森林計画におきましても、森林の有する多面的機能に応じた森林の整備や保全に関して、健全な森林資源の維持造成の推進など、基本的な考えを市町村にお示しさせていただいております。この県の計画を受けまして、地域の森林・林業のマスタープランでございます市町村の森林整備計画におきましては、市町村が主体的に森林の持つ公益的機能や木材等生産機能などのゾーニングを行い、指向する森林の状態へ誘導していく仕組みとなっております。 県といたしましては、市町村の計画策定において地域に適した樹種の選定などについて助言を行いまして、県全体として多様な森林がバランスよく配置され、森林の有する多面的な機能が将来にわたって持続的に発揮されるよう取り組んでまいります。 次に、持続可能な林業の姿についてお尋ねがございました。 本県の森林資源は、戦後造林された杉やヒノキの人工林を中心に本格的な利用期を迎えており、近年主伐、間伐によります素材生産量も増加傾向にございます。 こうした中、持続的な林業経営を長期にわたって行っていくためには、間伐等の保育を適切に実施するとともに、主伐を行う場合の再造林を確実に行っていくことが重要でございます。このため、先ほど申しましたように、保育・再造林コストの低減に向けては、ドローンを活用した苗木運搬、スマート林業の活用あるいは成長に優れたエリートツリーの植栽などに取り組んでいるところでございます。 他方、杉やヒノキを建築用材として利用、伐採するまでに約50年以上の期間を要します。こうしたことから、早生樹であるコウヨウザンの導入も進めまして、木質バイオマスの原料として活用することで短期的に収入を得る、こうした取組も進めております。 このように、長期にわたる林産物の利用を主とする樹種を確実に更新すること、あわせて木質バイオマスの原料として比較的短い期間で収入を得ることができる早生樹、これをバランスよく配置した森づくりを進めることで、御指摘の経済性を満たし、業として成り立つ山づくり、持続可能な林業を目指して取り組んでおります。 最後に、前回答弁時と比べまして、マイクロプラスチックによる海水の汚染状況あるいは動物に及ぼす影響、その対策についてお尋ねがございました。 まず、マイクロプラスチックの汚染状況でございますが、平成29年から令和元年にかけまして、環境省が足摺沖から室戸沖で実施した調査によりますと、海水1立米当たりの個数は0.01から44.72までと年度により、また地点によりまして大きなばらつきがございました。これは、黒潮の流れや気象、様々な要因が影響しているものと思いますが、いずれにしましても現状ではデータの蓄積が少なく、経年的な変化を分析できるまでには至っていないという状況でございます。 次に、マイクロプラスチックの動物への影響といたしましては、異物として生体内に取り込まれることによる粒子毒性と言われる影響と、プラスチックに含まれている化学物質あるいは漂流中にプラスチックに吸着した有害な化学物質、これが生体内に取り込まれる影響の2つがあると言われております。 このうち、生体内に取り込まれる粒子毒性につきましては、これまでの研究により、食物連鎖を通じて段階的に上位の動物に移行することが報告されておりますが、それが生体内で毒性が発現する濃度などの定量的な知見は集積されておりません。また、有害な化学物質が取り込まれることによる影響については、実験室のレベルでは生体濃縮していることが確認されており、現在実際の環境中で移行あるいは動物への影響を評価する研究、これが国内外の研究機関で進められているという状況でございます。 こうした状況の中、海洋プラスチックを削減するための県の対策としましては、まず何よりプラスチックごみ全体の排出を抑制していくこと、これが重要であると考えております。このため、3Rの啓発あるいは各種リサイクル法に基づく分別収集、再生利用の推進、加えて県民の方々の御参加による一斉清掃の取組、リバーボランティア団体の認定や活動支援などによりまして、プラスチックごみの海洋への流出の抑制に息長く、粘り強く取り組んでいるところでございます。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) まず、今後どのように中山間地域の社会インフラの整備に取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 過疎化が進む中山間地域においては、住民の安全・安心の確保や産業の振興を図る上で、社会インフラの整備にしっかり取り組んでいかなければならないと考えております。これまでにも1.5車線的道路整備など、中山間地域のインフラ整備を積極的に進めてきたところでございますが、まだまだ整備を要する箇所が多く残っております。 このため、県では、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」予算などを活用しながら、中山間地域の土砂災害対策や道路整備などの加速化を図ってきたところでございます。今後も引き続き、国などに対して中山間地域のインフラ整備の必要性や予算の確保を強く訴えていくとともに、有利な財源を最大限に活用しながら、地域の発展につながるインフラ整備に取り組んでまいります。 次に、空き家を将来どうしたいのかを住民に問う意向調査の支援を行うことについてお尋ねがございました。 平成30年住宅・土地統計調査によりますと、本県の空き家率は12.8%で全国1位となっており、空き家の対策は急務と考えております。また、空き家を有効に活用することは、中山間地域での移住・定住策につながる大変重要な取組であると考えております。このため県としましては、空き家対策に取り組む市町村への支援として、空き家の改修に対する補助制度を設けるなど、空き家の有効活用の促進に取り組んでいるところでございます。 この支援の一つとして、市町村が行う空き家の実態把握調査に対する補助制度を平成28年度に創設しており、この中で空き家所有者への意向調査も実施できることとしております。これまでに、この補助制度を活用している市町村のうち18市町村が、空き家所有者への意向調査を行っており、この結果を空き家の掘り起こしにつなげております。 今後も引き続きこれまでの取組を進めるとともに、市町村の意見も聞きながら支援策の強化を図るなど、空き家の活用のさらなる促進に取り組んでまいります。 最後に、中山間地域の国道や県道を早急に整備することについてお尋ねがございました。 中山間地域にお住まいの県民の皆様の日常生活を支えるために、道路は欠かすことのできないインフラであると認識しております。現在、県が管理する国道や県道においては、5か年加速化対策などの有利な財源を最大限に活用しながら、緊急輸送道路における防災対策の推進や、地域の実情に合わせた1.5車線的道路整備などにより、整備効果の早期発現に努めているところでございます。 あわせて、中山間地域における安全・安心を確保するため、待避所やガードレールなどの整備につきましても、地域のニーズをお聞きしながら、しっかりと取り組んでまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 福祉政策の観点から、中山間地域で農業を営み活躍されている高齢者の方々の支援についてお尋ねがございました。 お話のように、高齢者の方々が組織や地域で活躍されることは、福祉政策の観点からも大切な活動だと考えております。コロナ禍で地域での集いや健康づくり活動が中止となったことで、体調を崩されたり地域のつながりが弱くなったとの声をお伺いしています。 農業をはじめ高齢者の方々が積極的に社会活動に参加され、住民主体の活動が広がることは、介護予防や地域の支え合いを進めるためにも大変重要な取組です。このため、介護保険制度では、介護予防と地域の支え合い活動を一体的に推進するため、平成27年度に生活支援体制整備事業が創設され、各市町村に生活支援コーディネーターを配置し、住民主体の活動を支援しているところです。本年8月現在で、県全体で72名の生活支援コーディネーターが地域地域で活動しております。 県では、この事業を推進するため、活動事例などをまとめた冊子を作成するとともに、生活支援コーディネーター研修を実施するなど、市町村の取組を支援しております。コーディネーター研修では、事例として高齢者が主体となって野菜や果物などを道の駅で販売する産直活動に福祉分野と産業分野、地域が一体となって取り組む越知町中大平地区の取組などを紹介し、畑仕事をデイサービスと見立てて、福祉分野から畑仕事を支援することなどを提案しております。 来年度は、介護予防や地域の支え合いの拠点であるあったかふれあいセンターなどの福祉活動と、農業の営みをはじめ高齢者の方々の社会活動が一体となって展開されるよう、こうした取組に知見を持つ専門アドバイザーの配置など、市町村への支援体制の強化を検討してまいります。 ◆5番(金岡佳時君) それぞれ丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。それぞれの事情の中で懸命に努力をされておるということは分かりました。今後も頑張っていただきたいと思います。 今日の答弁の中で、若干私の思いと違ったところがありました。これは恐らく高知市から中山間地域までの距離のせいでしょうか。私ども中山間地域におる者の現状認識と若干の乖離があるんではないかというふうに思った次第でございます。それで、私の思いが十分に伝わっているのかという不安も若干残っております。 しかし、こうしている間にも時間がたっております。時間がたてばたつほど、問題はより深刻なものとなっていきます。駅伝に例えますと、今繰上げスタートがされようとしているところであります。繰上げスタートがされますと、永久にたすきをつなげなくなります。その前に何とかたすきをつないでいただきますようお願いを申し上げます。 かなり勝手なお願いかもしれませんけれども、重ねてお願いを申し上げまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午前11時28分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 36番米田稔君。   (36番米田稔君登壇) ◆36番(米田稔君) 日本共産党の米田稔でございます。通告に従いまして順次質問を行います。 コロナ禍と病院再編等について伺います。 新型コロナウイルス感染症の拡大と、その中で起こった医療崩壊は、日本の医療体制がいかに脆弱になっているかを明らかにしました。また、ここ数十年、人間の自然を改変する経済活動により、未知のウイルスとの遭遇、新たな感染症が次々と出現しています。そして、グローバル化した社会によって、瞬く間に地球規模で感染拡大するのが現代の感染症の特徴です。新たなオミクロン株が猛威を振るい始めています。そうした下で医療崩壊を再び起こしてはならない、これはコロナ危機の痛苦の経験を踏まえた政治の重い責任です。 そこで、医師確保と公的病院の病床削減についてお聞きをします。政府は、医者が増えると医療費が膨張すると医師数の抑制を続けた結果、日本の医師数は人口1,000人当たり2.4人、OECD加盟36か国中32位、加盟国の平均、人口1,000人当たり3.4人より14万人少ない水準になっています。これがコロナ禍で医療崩壊をもたらした最大の原因です。 医師不足が大きな社会問題となり、2008年からは医学部の定員を臨時措置として1割程度増員してきましたが、それも2022年度で打ち切る予定でした。コロナ禍の医療崩壊に直面して、2023年度は維持される方向ですが、将来医師が過剰になるとして削減する方向を変えていません。 しかし、この予測は、医師が過労死ラインの時間外労働960時間のケースや、突発的なトラブルの対応など特別な事情の下、三六協定で最大認められる時間外、年720時間のケースを想定したものであり、人間らしい働き方を全く無視して試算をされたものです。厚労省が2019年の医師の働き方改革に関する検討会でまとめた調査では、勤務医20万人のうち過労死ラインと言われる時間外労働が月平均80時間より多い医師が約4割、8万人。このうち1割、2万人は過労死ラインの2倍以上も働いていることが明らかになりました。 医師が心身ともに健康で人間らしい働き方、基本的に残業なしで対応できる医師数が必要と思いますが、知事にお聞きをいたします。 次に、感染症の専門医の確保の問題です。日本感染症学会は、ベッドが300床以上の医療機関には感染症医が常勤すべきとしていて、それを考慮すると4,000人ほどの専門医が必要と提言をしています。しかし、現在日本に感染症医は1,500人しかおりません。全国には400か所余りの感染症指定医療機関がありますが、昨年7月時点で専門医が常駐しているのは144か所しかありません。多くの病院では感染症の専門医以外が新型コロナの対応をしてきたのです。 日本は人口当たりの入院用のベッド数は多いですが、肝腎の重症者用のベッドが少ない。日本集中治療医学会によると、日本の重症ベッド数1万7,000床をカバーするには、最低でも4,500人の集中治療専門医が必要としていますが、現状は昨年7月時点で1,850人しかいません。例えば、ドイツには人口8,000万人に対して8,000人の集中治療専門医がいます。アメリカ、イタリア、フランス、韓国なども重症ベッド数が日本より多いのです。 感染症の専門医、集中治療専門医の増員、重症ベッドの確保が新たな感染症に対応するために極めて重要と思いますが、健康政策部長にお聞きをいたします。 ところが、医師不足などが影響して日本は重症ベッドが少ないにもかかわらず、政府は高度急性期病床、急性期病床を20万床減らすことを目標に、新型コロナ患者の受入れに不可欠だった全国の400以上もの公立・公的病院をリストアップして、削減、統廃合を推進し、そのために消費税増税分を財源にした病床削減支援給付金、今年度からは病床機能再編支援事業として単独支援給付金までつくりました。 一方、コロナ禍の医療崩壊を受け、新興感染症への対応を医療計画に位置づけることになりました。医師の偏在を是正する観点に立ち、都道府県が策定した医師確保計画、外来医療計画についても医療計画の一部となり、2024年度にスタートする次期医療計画に盛り込まれることになりました。 新型コロナウイルスへの対応では、回復した患者を中等症病床や軽症病床にシフトさせることで、重症患者を受け入れる病床を少しでも効率化させる病床調整が大きな課題となりましたが、今回のコロナ対応の教訓をどう地域医療構想に反映させるのか、健康政策部長に伺います。 新興感染症に備えつつ、平時の医療提供体制を整備していく上で、災害対策のリダンダンシーの考え方が重要ではないかと思います。有事に備えて予備の人員、施設を事前に準備する考え方です。地域医療構想にもこの考え方が必要ではないか、健康政策部長にお聞きをいたします。 新型コロナ感染症の第6波に備えた県の新方針の中で、自宅療養者がピーク時に358人になるとの想定を出しました。自宅療養は原則ゼロを目指すべきです。その肝になるのは、軽症のうちに早期に治療し、マンパワーが大きく割かれる重症にまで進行させない取組だと思います。陽性者の全員入院を実現した和歌山県、重症者を出さなかった墨田区の取組などが報道されています。 第5波を教訓に、早期に治療し、重症化を防ぎ、医療資源が逼迫しない取組の現状と課題について知事にお聞きします。 また、そのためにも広くPCR検査を実施し、無症状も含め陽性者を早期に発見することが大事だと思いますが、知事にお聞きをいたします。 次に、2019年12月4日に成立した、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律を受け、教育職員の変形労働時間制度を導入できるようにする条例案が今議会に出されています。これについては、我が党の中根議員が2019年12月議会において、条例化の要件は本県の学校現場にはなく、変形労働時間制の導入は不可能であることをただしています。改めて教育長にお聞きをいたします。 政府の国会答弁では、恒常的な時間外労働がないことが前提としながら、この変形労働時間制は、活用前の年度の時間外在校等時間が月45時間まで、年間360時間までという指針を守られているなら適用を認めるとしています。本県の教育職員の労働時間は、この指針の範囲内であるのか、教育長、お答えをください。 本制度は、人類が長い闘争で勝ち取った1日8時間労働制を顧みず、10時間にしても時間外労働、超過勤務とは言わせないという労働基準法違反の制度です。異常な長時間過密労働が常態化している学校現場での業務や勤務時間を縮減するものではないと文部科学省が認めるこの制度を、地方公務員である教員に労使協定さえ結ばずに条例で押しつけることは許されず、ユネスコ、教員の地位に関する勧告82項及び同勧告89項に沿うべきだとの中根議員の指摘に、82項、89項に沿い、当然のことながら職員団体との交渉などを経て、具体的な制度の内容を決定していくこととなると答弁をしています。 職員団体との交渉は行ったのか、その経過内容はどうか、教育長にお聞きいたします。 学期中における長時間勤務を認めるこの制度は、教職員の体を顧みず、精神をもむしばむものであり、そのツケは結局、対する児童生徒に回るものとなるであろうことは想像に難くありません。教職員の勤務条件は子供たちの学ぶ環境、学習条件と同義語です。 昨年から今年にかけて、須崎市議会をはじめ多くの市町村議会で、今やるべきことは、ゆとりを持って子供と向き合い、個々の成長発達に寄り添い、学力向上のため授業準備も確保できるゆとりを先生に保障する労働環境の抜本的な改善であり、公立学校に1年単位の変形労働時間制を適用しないようという意見書議案を可決していると聞きます。県政史上極めて異例なこれらの市町村議会の動きは、学校現場が抱える多忙化が深刻であり、この小手先の制度ではその解決にはならないことを多くの市町村議員・議会が見抜いているのです。そして、これらの動きを受け、市町村教委でも導入に反対したりするところが出てきていると聞いています。 この間、変形労働時間制の適用をしないことを求める意見書議案が可決された市町村名と数、また各市町村教委での制度導入に対する姿勢や判断がどう示されているのか、その動向を教育長にお聞きいたします。 この制度の導入に当たって、文科省は国会答弁や導入の手引で、まず学校で検討の上、市町村教委と相談し、市町村教委の意向を踏まえた上で条例整備をとしています。事は子供の学習条件に直結する問題、これら制度の内容など知る由もない教職員や保護者に対して、丁寧に制度の説明をする講習や研修を開催するなど、学校単位で職場実態など併せて学ぶことを進めてきたのか、教育長にお聞きをいたします。 私どもは、それらのことが不十分なままでの制度導入を前提とした条例制定は時期尚早であり、条例化は見送るべきだと考えるものですが、教育長に伺います。 GIGAスクール構想について教育長に伺います。 情報通信技術、ICTの学校教育での活用を進める政府のGIGAスクール構想によって、公立小中学校では子供1人に1台のタブレットやパソコンなどの配備が進み、早い自治体では使用を始めています。ICTは、感染症による臨時休校などの際に役立ったり、不登校の子供の学びに役立ったり、人前で発言の苦手な子供がしっかり意見を表明できたりなど、役立つ面があります。が、様々な課題もあります。 東京都町田市立小学校の6年生が2020年11月、いじめを受けていたとメモを残し自殺した事件では、GIGAスクール構想の先進事例として児童に配られたタブレット端末がいじめに使われたことが明らかになっています。パスワードが全員共通で、他の児童に成り済ましてチャットなどに書き込むのが容易な状態だと報道されています。また、いじめ以外にタブレットによるアダルトコンテンツの視聴や授業以外での利用などの問題も指摘されています。 文科省は、端末のアカウントやパスワード管理について、学校が確認するべき項目を盛り込んだチェックリストを示しています。今の子供たちは様々な生活の場面でICTに触れていますので、情報化社会とどう向き合っていくのかが問われています。 また、今年2月、コロナ禍で、近視の原因となる眼球の長さが伸びている子供が多くなっていると警鐘を鳴らす番組が放送されました。タブレット使用が危険性を助長すると心配する声が上がっています。 情報モラル教育や健康面の配慮について、課題意識と取組について教育長にお聞きをいたします。 壊れたときや自宅で使う場合の通信費、破損時の保障をはじめ保護者負担を生まないようにすべきです。GIGAスクール構想に関わり、生徒や保護者に費用負担が生じないよう県として支援すべきではないか、教育長にお伺いをいたします。 昨年11月27日の衆議院文部科学委員会で、我が党の畑野議員の、ICT化で今以上にきめ細かな指導が求められる、少人数学級が絶対必要だの質問に文部科学大臣は、学校教育は人がぬくもりを持って子供たちに接することが大切、少人数学級実現を頑張りたいと答え、デジタル教材の活用は教員の裁量、専門性が基本に据えられるべきだとの指摘にも、御指摘のとおりだと答弁をしています。 そもそも授業の質は、教員自身の深い教材研究や、子供同士や子供たちと教員との生きたやり取りにあります。ICTはあくまでその補助です。教員の得手不得手もあり、どう使うかは個々の教員に委ねなければ、かえって授業の質が落ちかねません。タブレット使用が自己目的化し、一律の使用方法などを徹底するようなことは本末転倒です。 デジタル教材の活用は、教員の裁量、専門性が基本に据えられるべきだと考えますが、教育長に認識をお聞きします。 次に、盛土による災害防止、土砂災害から県民の命、財産を守る県土づくりについて土木部長に伺います。7月3日に発生した静岡県熱海市の大規模土石流被害は、27人の死者・不明者、負傷者3名、全半壊家屋128戸という大惨事になりました。崩壊した土砂のほとんどが不適切に盛土された残土で、人災だと指摘されています。盛土は、静岡県土採取等規制条例の許可基準の3倍以上の約50メートルの高さまで積まれ、産業廃棄物まで混入するなど違法なものでした。 この災害について難波喬司副知事は、自然要因と不適切な盛土という行為と、それを見抜けなかった行政要因の3つが重なったと述べ、事実上行政の責任を認めています。 また、熱海市は、約10年前に住民の命と財産に危険を及ぼす可能性があると危険性を認識しながら、対策を講じていなかった経緯が明らかになりました。刑事告訴をし、続いて損害賠償の訴訟を起こしている遺族の方たちは、行政の重大な過失、人災だと指摘をしています。 今回のケースは、自然による土砂災害と違い、人的に違法に盛土した土砂が崩落したものです。土砂の管理者、事業者、所有者が第一義的に責任を負うべきは当然です。同時に、安全面から事業者等を監視、監督すべき行政の責任も免れるものではありません。 不適切な土砂の埋立てを規制するいわゆる残土条例は26都府県が制定しています。しかし、多くの知事やブロック知事会等から、条例では限界がある、全国一律に適用される最低限度の基準の設定等が不可欠など法整備の要望、提言が続けられてきていました。日本共産党も2015年3月の参議院国土交通委員会で建設残土を管理する仕組みの法制化を求めるなど、国会からも何度も要請がありましたが、こうした要請を放置してきた国の不作為責任は重大であると指摘しなければなりません。 まず、静岡県熱海市の盛土による大規模土石流被害をどう受け止めているのか、また何を教訓として高知県に生かしていくのか、知事に伺います。 さきの9月議会で報告がありました、盛土による災害防止のための総点検についてです。2021年3月現在で確認されている宅地造成した大規模盛土は、全国5万950か所と発表されています。この大規模盛土造成地以外にも、山林等への盛土があると思います。また、土砂災害警戒区域、いわゆる土石流、急傾斜地崩壊、地滑りが全国約66万か所と推定をされています。 今回の総点検の対象箇所の内容と箇所数について、またスケジュール案では11月に中間報告となっていますが、その結果について土木部長に伺います。 今回の盛土による大規模土石流被害の最大の要因は、不適切、違法な建設残土の投棄にあることは明らかではないでしょうか。国土交通省の平成30年度、2018年度建設副産物実態調査結果確定値、参考資料によれば、建設発生土発生量は2億8,998万立方メートル、東京ドーム230杯分、有効利用率79.8%、そして全体の発生量のうち公共土木工事が84.2%、2億4,000万立方メートル余と推計をされています。公共工事は、発注者が最終処分場を指定して工事契約する指定処分制度を導入していますが、仮置場を指定先とすることを認めていたり、請負業者に最終処分を任せる事例も少なくありません。 公共工事における建設残土については、工事発注者が最後まで責任を持ち、住民の命と財産に危険を及ぼすことのないよう適切に処理すべきと考えますがどうか、土木部長にお聞きをいたします。 土砂災害警戒区域を中心に、昨年全国で土石流や地滑りなど約1,300件発生、5年連続で1,000件を超えています。全国で66万か所、高知県で1万9,471、約2万か所と推計されている土砂災害警戒区域等の災害防止対策についてであります。 土砂災害警戒区域等の指定や公表について、また住民説明会や避難計画の策定、訓練など住民の命と財産を守るソフト対策の取組について土木部長にお聞きをいたします。 2021年度の防災・安全交付金は、2020年度の補正を含めて1兆2,786億円ですが、これは地方の要望額約2兆円の7割程度です。地方が必要とする防災・老朽化対策の3割を切り捨てたりするのではなく、国民のための公共事業に大転換するときです。 あわせて、計画策定や点検などに対する国の補助制度を拡充するとともに、橋梁やトンネルなどインフラの老朽化対策、長寿命化を推進するに当たって、自治体の技術者の育成・確保に国が支援を強化するよう提言すべきと考えますが、土木部長にお伺いをいたします。 時を同じくして、2つのメディアが自伐型林業を特集、11月29日付高知新聞、見出しは「自伐型林業に挑む若者 山を保全 雇用にも貢献」、近年集中豪雨で土砂災害が多発するが、皆伐地を起点に起きるケースが多いとの指摘もある、自伐型の湾曲した作業道は山を流れる雨水の勢いを軽減する堰堤の役割を果たし、将来高値で売れる一定の木を残して間引く間伐は土壌がむき出しになるのを防ぐと述べています。そして、山の保全に加え、若い人を呼び込む雇用にもつながる自伐型は町にぴったりとの現地町長の談話を紹介しています。 もう一つは、雑誌前衛12月号、「土砂災害を誘発する大規模林業 希望は小規模分散型の自伐型林業」と題する上垣喜寛NPO法人自伐型林業推進協会事務局長の寄稿文です。 9月15日に「クローズアップ現代+」、「宝の山をどう生かす 森林大国・日本 飛躍のカギは」が放送された。番組では、国産材の供給量が増え木材の自給率がアップする一方で、生産性や効率性を高めるために大型の林業機械を森に運び入れ山を丸裸にする皆伐が全国で広がっている様子が映し出された。切りっ放しの山、幅広の道が入った林業現場からは土砂崩れが発生している惨状が報告をされた。それに対して、将来にわたって残したい木を決めて、その支障となる木を間引く間伐を長期にわたって繰り返す、山へのダメージを最小限に抑えて壊れない作業道を整備し災害の起きにくい山づくりを目指す自伐型林業。移住してきた若者やUターン者とそれを支援する自治体の取組が伝えられたと記しています。 また、2020年7月の熊本県球磨川とその支流の氾濫をドローンなどで調査、崩壊箇所629か所のうち、少なくとも約70%、442か所は皆伐が広がる作業道などの林業施業地からの崩壊と判明、甚大な被害を与えた災害は記録的豪雨だけが原因でなく、多くは林業現場だったということと報告をしています。 こうした事例に学び、皆伐で後は野となれはげ山となれではなく、災害から山と命、暮らしと雇用を守る、まさに持続可能な自伐型・小規模分散型林業に転換すべきと考えますが、林業振興・環境部長の見解を伺います。 次に、介護保険の補足給付制度見直しについてであります。自民・公明政権はこの8月から、介護保険の施設を利用している低所得者の食費、居住費の負担を軽減する補足給付制度を縮小、改悪しました。コロナ禍で暮らしが痛んでいるさなかに、容赦なく負担増を強いるやり方に利用者、家族の不安と怒りが広がっています。 私たちのところにも不安の声と相談が寄せられています。ある御夫婦は、夫が認知症もあり老人保健施設に入所、8月からの利用料が一気に2万円余も値上がりとなり、施設に聞いても、決まったこととの返事、年金月10万円しかないのに合計8万5,000円もの支払いになる、自分の年金は5万円しかなく2人の生活ができないと視力障害のあるパートナーの切実な訴えでありました。御主人の年金収入が年120万円を超えており、今回の補足給付の改悪、食費の負担限度額の見直しとして、1日の食費がこれまでの650円、月2万150円が1,360円、月4万2,160円と、一気に倍の2万2,000円もの負担増になったのであります。 もともと補足給付制度は、2005年の介護保険の改悪で食費、居住費を全額自己負担にしたとき、厚労省が低所得者に配慮するといって導入した仕組みです。ところが、使える要件を厳しくし、利用者、家族に経済的な苦難を押しつけてきました。また、2019年に打ち出した8月からの今回の改悪を、新型コロナ危機の下でも見直しませんでした。そして、法改正を経ず施行令の改正だけで済ませたことで国会審議を免れ、多くの国民が知らない間に強行したものであり、許せません。 さて、この制度の対象は、家族全員が住民税非課税世帯であることなどが原則になっています。今、コロナ禍の真っただ中、国は住民税非課税世帯に対し、1世帯10万円の給付金支給を準備しています。こうしたときに一方で、年金収入120万円超えの人も含む低所得者に配慮した補足給付制度を縮小、改悪することは決して許されるものではありません。厚労省によれば、全国で27万人が補足給付の縮小、改悪の影響を受けると推定をしています。 補足給付の対象になっていた人数、8月から給付が縮小、除外となった人数と影響の実態について子ども・福祉政策部長に伺います。 他に例のない容赦なき莫大な負担を強いられたり、退所を余儀なくされたり、また退所を考えざるを得ない等、利用者、県民の痛みと不安をどう受け止めているのか、知事にお聞きをいたします。 今後、経済的理由から施設に入ることを諦める人、入れない人が続出するおそれもあります。社会で支える介護を掲げて導入された介護保険制度、老老介護や年間10万人もの介護離職など、保険あって介護なしの事態を克服することが緊急に求められています。安心の土台を掘り崩す補足給付制度の見直し、改悪は中止、撤回しかありません。 全国知事会とも連携して、国に対して高齢者、家族、県民の実態と暮らしの願いを届け、中止、撤回を提言するよう強く求めるものですが、知事にお聞きをします。 介護保険料滞納による差押えについて、子ども・福祉政策部長にお聞きします。介護保険料の滞納によって預貯金などの財産を差し押さえられた65歳以上の人が2019年度は2万1,578人で、過去最多を更新したことが厚生労働省の調査で分かりました。2万人を超えたのは初めてです。また、差押えのほか、厳しいペナルティー、罰則を強いられますが、保険給付の制限を受けた人は計1万3,883人でした。 65歳以上の人が支払う介護保険料は、年金を年18万円以上受給している場合、年金から強制的に天引きされます。一方、無年金や年18万円未満という低所得層の人は、自ら金融機関などに納める必要があり、滞納するケースが生じています。全体の被保険者数は3,555万人、年金天引きでなく直接納める普通徴収が約1割、350万人です。 差押え処分の増えた背景について、自治体の徴収業務の強化を指摘しますが、より根本的には介護保険料が2倍近くに上がったことも理由と見られる、2000年度は全国平均で月額2,911円だったのが2018年度は5,869円に上昇、2021年度は6,014円になった、コロナ禍もあり低い年金額の高齢者らはさらに介護保険料の支払いが難しくなることが想定されると11月10日付朝日新聞は指摘していますが、ここに問題の本質があるのではないでしょうか。 高知県の滞納処分の状況、また償還払いや給付の減額など保険給付の制限の状況について子ども・福祉政策部長に併せてお聞きをいたします。 介護保険料は地方税法の例によって滞納処分が行われることになっています。総務省は、滞納処分をすることによって、その生活を著しく急迫するおそれがあるときは滞納処分の執行停止ができるという条文もあるので、その趣旨を踏まえてほしいと説明しています。 現場ではどうなっているのか、子ども・福祉政策部長に伺います。 保険料を滞納した場合、差押えのほか厳しいペナルティー、罰則が強いられますが、保険給付の制限を受けた人は計1万3,883人でした。そのうち原則1割負担の介護サービス利用料を一旦全額自己負担にして、後から払戻しさせる償還払いとなったのは2,591人、払戻しの一時差止めは56人、自己負担を3割に引き上げる給付の減額等が1万1,236人となるなど、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料に比べても苛酷なものになっています。 経済的困難にある人が必要な介護を受けられない仕組みは見直さなければなりません。国に対して改善を提言すべきと考えますが、子ども・福祉政策部長に伺います。 12月2日付のある全国紙、読売新聞ですが、高齢者の差押え問題を取り上げて、滞納を続けた人には不利益が及ぶことがある、より苦しい状況に陥る可能性があると述べ、岡山市の滞納への早期対応の取組や、東京都中野区の2人世帯の場合年収145万円以下といった基準を設け、低所得者の保険料を半額とする制度を設けていると紹介し、提言をしています。 必要な人が必要なサービスを受けることができるように、介護の社会化を実現するために、各保険者において保険料、利用料双方の減免制度の拡充、創設が緊急に必要です。認識と対応について知事にお聞きします。 現行の介護保険は、サービスの利用が増えたり、介護職の労働条件を改善したりすれば、直ちに保険料、利用料の負担増に跳ね返るという根本矛盾を抱えています。保険料、利用料の高騰を抑えながら制度の充実や基盤の拡充を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。 自由民主党と公明党は、消費税増税の実施前、増税で財源を得られたら1兆円の国費を投入し、介護保険の公費負担割合を現行の50%から60%に引き上げると主張をしていました。増税が決まった途端、その公約はほごにされましたが、社会で支える介護を保障する道はこれしかありません。 日本共産党は、介護保険の国庫負担割合、現在は在宅25%、施設20%を直ちに10%引き上げ、将来的には国庫負担50%、公費負担75%に引き上げることを提案しています。国庫負担引上げで安心できる介護制度には、国民、自治体、多くの政党等の共通する要求であり、願いではないでしょうか。 課題解決先進県を掲げる高知県が提起をして、全国知事会はじめ地方6団体が連携をして国に提言、実現を図るべきだと考えますが、知事の御見解を伺います。 以上、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 米田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、残業なしで対応できる医師数が必要ではないかというお尋ねがございました。 医師が健康的に働き続けることのできる環境を整備するということは、医師自身にとってはもとよりでありますけれども、医療の質、安全の確保と持続可能な医療提供体制を維持していく上で重要であると考えております。 こうしたことから、一般の労働者に比べますと高い水準ではございますけれども、初めて医師の時間外労働の上限規制が令和6年4月から適用されるということになっております。また、医師の数、全体の増員に関しましては、御指摘にもございましたように、全国的に医学部の定員を増員し、この医師不足に対処をするという対応が取られておりますが、この医師の養成には長い期間を要するということもございます。加えまして、医療は人命を救う重要な業務ということもございますので、ある程度までの時間外労働はやむを得ないというふうに考えられます。 この問題の、より本質的な対策といたしましては、持続可能な医療提供体制の確立を図っていく必要があるということだと考えます。そのためには、医師の偏在の対策、これは診療科あるいは地域などによります偏在ということでございますが、この偏在を正していくという対策ですとか、ただいま申し上げましたような働き方改革の取組、これに加えまして、地域医療構想を実現することによります医療機能の分化といった問題に一体的に取り組むことが重要であるというふうに考えております。 今後、国だけでなく各都道府県がその進捗状況を把握いたしまして、総合的な政策として評価をする中で、医師数の在り方も議論がされるべきではないかというふうに受け止めております。 次に、新型コロナウイルス感染症の患者急増時におきましても医療資源が逼迫をしない取組が必要ではないか、この点についての現状と課題はどうかというお尋ねがございました。 このコロナの第5波におきましては、第4波と比べますと、大幅に患者数は増加をいたしましたけれども、重症や中等症の患者数は約3分の2に減少しております。また、患者数に占める重症・中等症化したものの比率で見ますと、この割合は半分以下に減少しているというような状況でございます。 これは、特に第5波の対応までの間に、高齢者を中心にワクチン接種が急速に進んだということが1つ要因として考えられます。あわせまして、重症化リスクのある患者に対して積極的に中和抗体薬の投与、いわゆる抗体カクテル療法を行ってきたということが大きく寄与しているというふうに考えているところでございます。また、多くの入院協力医療機関で中等症患者にも対応いただくということができましたし、また重症患者の対応につきましては、3つの医療機関が連携をして分担するという体制が取れましたことで、通常の医療が逼迫をするというような状況は回避することができたところであります。 一方で、8月中旬以降におきましては、連日100人を超えるような患者の確認が行われた、感染が急増した時期がございました。こうした時期には、重症化リスクの高い患者に医療資源を確保するという趣旨で、やむなく一部について自宅療養をお願いするという判断をいたしたところでございます。 こうした第5波におけます経験を踏まえまして、まずは病床や宿泊療養施設の拡充をしていくということ、そして入退院の調整を迅速化していくということ、さらにやむを得ず自宅療養をお願いする方々に対しては、さらなる不安軽減策を取っていくということ、こういったことが課題であるというふうに考えて、対応を図ってきたところでございます。 このために、今後患者が急増いたしましたときには、県が設置をいたしております新型コロナウイルス感染症医療調整本部に臨床医にも参画をいただくということで入退院調整の迅速化を図る対応を取ることとしております。また、自宅療養者への支援につきましては、感染状況に応じて外部の人材の協力も得ながら、各保健所の体制を計画的に強化し、しっかりと対応してまいりたいと考えております。 次に、広くPCR検査を実施するべきではないかということについてのお尋ねがございました。 早期に治療を開始するというためには、議員から御指摘がありましたように、早期に陽性者を発見するということが重要であるということは言うまでもないことだと考えております。 本県では、これまで濃厚接触者以外の接触者につきましても、広くPCR検査の対象として対応してまいりました。特に、高齢者施設などで一例でも患者が発生した場合には、同じフロアまたは施設全体の入所者ですとか職員の方々へのPCR検査を積極的に行ってまいりました。また、第4波、第5波の患者が急増した時期には、無料のPCR検査も臨時で実施をするということを対応いたしました結果、この中では合わせて30名の陽性者が確認されまして、必要な療養につなげることができたという実績もございます。 今後も、感染の拡大時には、感染に不安を感じます無症状の県民の方々を対象として無料のPCR検査を実施することとしたいと考えまして、今議会に必要な予算案を提出させていただいております。 検査の実施につきましては、対応の目安がいわゆる特別警戒段階以上となる可能性がある場合に、この実施の判断をするということを想定しているところでございます。また、第5波までとは異なりまして、今後はワクチン接種歴のある方も無料検査の対象とするという予定としております。こうした対応によりまして、早期に陽性者を確認して必要な療養につなげ、医療資源の逼迫を回避できるように努力をしてまいりたいと考えております。 次に、静岡県熱海市におきます土石流災害の受け止め、そして教訓についてお尋ねがございました。 熱海市の土石流災害におきましては、上流部の不適切な盛土の崩壊が被害を拡大させた要因の一つとされております。こうした盛土を規制する法制度の必要性を認識したところでございます。 このため、全国知事会を通じまして、全国統一の基準や規制を早急に設けるように国に対して要望をしてまいりました。現在、これを受けまして、国のほうでは全国一律の安全基準を策定するということ、あるいは違反者への罰則を強化するということ、こういった中身を柱といたしました盛土対策を強化する関連法案を来年の通常国会に提出すべく、準備を進めているところというふうに聞いております。 加えまして、崩壊をしますと住宅などを巻き込むおそれが高い地域を都道府県が指定し、この区域内での土地造成行為を許可制とすることなどが検討されているというふうに承知をしております。 また、静岡県におきましては、盛土に関する行政手続上の問題につきましても検証が進められているということでございます。不適切な盛土を防ぐというために、こうした動向を注視しながら、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。 一方で、この熱海市の被害につきましては、土石流災害のおそれがあります区域として指定されておりました土砂災害警戒区域で発生しているという事情もございます。このため、こうした危険区域の住民の皆さんへの周知ですとか、市町村の速やかな避難指示の発令といいました、早めの避難につなげる取組の重要性も改めて認識をいたしたところでございます。 引き続き、国の補正予算も活用いたしまして、砂防堰堤などの整備を進めるということに加え、自主的な避難行動を促すための啓発活動を強化いたしまして、ハード・ソフト一体となりました対策に全力で取り組んでまいる考えであります。 次に、介護保険のいわゆる補足給付の見直しに対する受け止めと国への提言についてお尋ねがございました。 お尋ねがございました介護保険におきます補足給付は、住民税の非課税世帯といった低所得の方が介護施設やショートステイを利用した際に、食費あるいは居住費相当の自己負担を求められる場合にこれを軽減するというための助成制度でございます。この制度は、在宅の方と施設利用者の方々の負担の公平性を確保しようという趣旨で、平成17年度の介護保険法改正によりまして、食費などがこの給付の対象から外れたということがございました際に、低所得者への配慮として創設されたものであります。 このたびの補足給付の制度の見直しそのものは、介護保険制度の持続可能性を高めるために、負担能力に応じた負担をお願いしていくという観点から見直しが行われたというふうに認識をしております。こうした見直し自身は、高齢化が進む中にありまして、介護保険制度を維持していく、そして必要な介護サービスを必要な方に提供していくためには、やむを得ないものだというふうに考えているところでございます。 ただ、一方今回の見直しにつきましては、事前に周知の努力はしてきたところでありますけれども、利用者の方々の中には支払いが増えて困っているというお話、これは議員から御指摘あったとおりでございます。また、負担が急に増えたのはなぜかといったような声が上がっているというふうに報告を受けております。 県といたしましては、利用者が安心してサービスを受けられますように、市町村や事業者に対しまして利用者の方々の疑問には丁寧に対応いただけるようにお願いをしてまいります。あわせまして、例えば利用者が経済的な困窮の問題を抱えているという場合には適切に福祉の窓口につなぐといった対応も含めまして、関係機関と連携をした支援に努めるよう周知を行ってまいります。 次に、保険料や利用料の減免制度の拡充、創設についてお尋ねがございました。 高齢化が進行する中にありまして、介護保険制度を将来的に安定して運営していくためには、給付と負担のバランスを図りながら、制度の持続可能性を高めていくということが重要であると考えております。 こうした中、保険料につきましては、住民税非課税世帯の高齢者に対して公費により最大で基準額の7割を軽減するという制度が設けられているところでございます。加えて、市町村の条例に基づきまして、長期間入院されている方あるいは新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した方などへの減免制度もあるという状況でございます。 こうした支援制度はございますけれども、例えばお話がありましたような保険料の滞納の御相談の中で所得の急減を把握した場合には、福祉の窓口につないでいただくといった形で、市町村が各種の制度を総合的に、また適切に運用していただけるように助言、支援をしてまいりたいと考えております。 最後に、介護保険の国庫負担割合の引上げについてお尋ねがございました。 高齢化が進む中で、介護保険制度を将来にわたって安定して運営をしていくということが必要な中でありますので、先ほども申し上げましたけれども、給付と負担のバランスを図りながら、制度の持続可能性を高めていくということが何よりも重要だと考えております。 特に、今後高齢者人口がピークとなると見込まれます2040年頃に向けまして、介護保険制度が果たすべき役割は一層大きくなるということでございます。そのため、給付の面では必要とされる方に確実にサービスが提供されるということが必要であるということはもちろんでありますけれども、負担の面では、その能力に応じて軽減を図る必要があるというふうに考えております。 こうした中におきまして、先般来社会保障と税の一体改革が進められており、所得の低い高齢者の保険料軽減などに、消費税率の引上げによります増収分を財源とした公費の投入が行われているところでございます。これによりまして、先ほど申し上げましたように、最大保険料の7割軽減というような、手厚い減免の措置も取られるようになってきているということでございます。 介護保険制度につきましては、全国知事会において、将来にわたり安定したものとなりますように、国、地方の負担の在り方を含めまして、必要な制度の改善を図るように国に提言を行っているところでございます。引き続き、国の動きも注視をしながら、持続的な制度の改善に向けまして、全国知事会などと連携をし取り組んでまいります。 私からは以上でございます。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、新たな感染症に対応するための感染症専門医、集中治療専門医の増員、重症ベッドの確保についてお尋ねがございました。 現在、高知県内の感染症専門医の人数は、人口10万人当たりで全国平均並みの18位、一方集中治療専門医の人数は、人口10万人当たりで全国平均を大きく上回る5位というふうな状況になっております。 また、重症患者への治療に対応する集中治療室--ICUのことですが--やICUに準ずる機能を有するハイケアユニットなどの整備状況は、人口当たりで見ますと全国でもトップレベルになっております。 このように、本県においては、感染症の治療に当たる医師や重症者に対応する病床は他県と比較して相対的に充実してはいるものの、専門性を有する人材のさらなる育成は重要であると考えております。このため、高知医療再生機構による専門医等養成支援事業などを活用し、関係機関に専門人材の育成を促してまいります。 あわせまして、先般策定しました新型コロナウイルス感染症の保健・医療提供体制確保計画において構築した医療連携体制を基礎としながら、次期の保健医療計画においては、感染症医療に必要な医療資源の確保方策を検討してまいります。 次に、新型コロナウイルスへの対応の教訓や、有事に備えて予備の人員、施設を事前に準備する考え方を地域医療構想にどのように反映させるのか、お尋ねがございました。 地域医療構想につきましては、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床機能別に2025年の医療需要に応じた病床の必要量を定め、再編を進める取組でございます。 県内におきましては、これまで介護医療院への転換を中心に、病床の機能転換や再編、公立・公的医療機関などの担うべき医療機能や病床数の検証などの取組を進めてまいりました。そうした中、コロナ禍においては民間の医療機関も含めて、それぞれの医療機能を踏まえて入院対応を担っていただいており、この夏の状況でも、県内全体として病床を逼迫させることなく乗り越えることができました。 ただ、全国的には病床の逼迫が相次いだことなどから、令和6年度からの第8期医療計画の記載項目として、新興感染症等の感染拡大時における医療が追加され、地域医療構想との整合性を取ることが予定されております。県としましては、今後国から示される考え方を基に、新興感染症などにも対応可能な県内の医療体制の在り方について検討してまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、教育職員の変形労働時間制について、本県の教育職員の労働時間が国の指針が示す範囲内であるのかとのお尋ねがございました。 教育職員における1年単位の変形労働時間制は、年度初めや学校行事等で業務量が多い時期に限って勤務時間を延長し、延長した時間を長期休業期間等に休日としてまとめて取得することができる制度となっております。教育職員がこの制度を活用するに当たっては、活用前の年度の時間外在校等時間が月45時間、年360時間の範囲内であることが国の指針で定められております。 本県の県立学校における令和2年度の時間外在校等時間の実績では、69%の教育職員がこの指針の範囲内となっております。また、市町村立の小中学校では、校務支援員を配置している35校の実績となりますが、指針の範囲内となる教育職員の割合は23%となっております。 次に、変形労働時間制導入に関する職員団体との交渉についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、変形労働時間制に関して、4つの教職員団体と令和2年12月から制度の趣旨や内容について説明や話合いを行ってまいりました。 4つのうち1つの団体からは、8時間労働制の原則を壊すものである、制度の導入より、まずすべき取組があるといった理由から反対の意向が示されました。これに対して、制度の適用に当たっては適用期間内--これは1か月を超えて12か月以内ということになりますけれども、適用期間内の1週間当たりの勤務時間の平均を、通常の勤務時間数、1週間38時間45分とすることなど、長時間勤務を助長するものではないこと、そして教育職員の健康及び福祉の確保を図るための措置を講ずること、また本制度は市町村や学校単位での活用を強制するものではなく、希望する教育職員が個人単位で活用することのできる休日取得制度の選択肢の一つであることといった内容を説明し、理解を求めたところです。なお、その他の3つの団体からは、制度の導入に関して御理解をいただいているところです。 次に、変形労働時間制の適用をしないことを求める意見書議案が可決された市町村名と数、市町村教育委員会での制度導入に対する姿勢や判断についてお尋ねがございました。 変形労働時間制の適用をしないことを求める意見書議案が提出された市町村は、土佐町、須崎市、四万十市、芸西村、馬路村、奈半利町、日高村、四万十町、いの町、安芸市、東洋町の11市町村となっております。 また、本制度の導入に関して、学校組合を含めました35の市町村等教育委員会の意向につきましては、直近の調査では導入する方向で検討しているが6教育委員会、未定が29教育委員会となっております。 なお、未定の教育委員会では、近隣市町村の動向や導入による成果、課題等を検討した上で判断したいや、学校現場との調整がまだ十分でないためといった理由を挙げられておりますので、今後とも制度の理解を深めていただけるよう、十分説明に努めてまいりたいと考えております。 県教育委員会としましては、県立学校の教育職員の35.8%が活用を希望していることや、6教育委員会が本制度を導入する意向を示しておりますことから、条例改正によって本制度を活用するための環境を整備することが必要であると考えております。 次に、教職員や保護者に対して講習や研修を開催するなど、制度を学ぶことを進めてきたのかとのお尋ねがございました。 県教育委員会では、令和2年8月から順次市町村教育委員会及び県立学校に対して、制度に関する文部科学省からの通知やパンフレットを送付するとともに、市町村教育長会や県立学校長会及び教頭会、事務長会などにおいて、制度の内容やスケジュールに関して直接説明を行い、教職員への周知についても依頼をしてきたところです。また、県立学校につきましては、全教育職員を対象にアンケートを実施し、制度の周知と併せ、活用の意向も伺っております。 なお、本議会で条例改正をお認めいただけましたら、改めて県立学校長や各市町村教育委員会に対しまして、本制度の活用に向けた具体的な手順などの周知を行ってまいりたいと考えております。 県立学校の教職員個人に対しては、校務支援システムなどの情報伝達ツールを活用して周知を行うとともに、保護者の皆様に対しても、学校に対して学校通信等による周知を依頼するなど、本制度の理解を深めていただけるよう努めてまいります。 次に、制度導入を前提とした条例制定は時期尚早であり、条例化は見送るべきとのお尋ねがございました。 このたびの変形労働時間制は、市町村や学校単位での活用を強制するものではなく、希望する教育職員が個人単位で活用することのできる休日取得制度の選択肢の一つです。県教育委員会としましては、県立学校の教育職員の35.8%が活用を希望していることや、本制度を導入する意向を示している市町村教育委員会があることからも、条例改正によって制度を活用するための環境を整備することが必要であると考えております。 本制度は、休日をまとめて取得することで教育職員がリフレッシュする時間等を確保し、そのことがひいては児童生徒に対して効果的な教育活動を行うことに資すると考えております。また、休暇制度の選択肢が増えることにより、教育職員の多様な働き方を促すとともに、教職の魅力化を図り、意欲と能力のある人材が教員を目指すきっかけになることも期待できます。 今後とも、本制度の導入と併せて教育職員の業務の効率化、削減等にも引き続き取り組み、総合的に働き方改革を進めてまいりたいと考えております。 次に、GIGAスクール構想に関し、情報モラル教育や健康面の配慮についてお尋ねがございました。 インターネット、SNSが普及し、またGIGAスクール構想の下で1人1台タブレット端末の使用が進む中、子供たちが適切にICTを活用できる能力を身につけ、心身の健康を守っていくことはとても重要な課題だと認識をしております。 このため、本県では、授業と関係のない不適切なサイトにアクセスできないよう、全てのタブレット端末でフィルタリングを実施しているほか、チャットにつきましては、教員が参加した体制でのみ運用するように制限を行っております。また、児童生徒のアカウントとパスワードについては、他人に知られないよう管理を徹底することなどを全校に通知しているところです。 一方、情報モラル教育につきましては、発達段階に応じて授業などで学習するほか、インターネットの正しい利用に関する出前講座や、リーフレットを活用した啓発活動も実施しております。さらに、就学前から高校までの各学校等において、家庭や地域と連携しながら情報モラル学習を進めていくため、本年度中に情報モラル教育ハンドブックを作成し、効果的な活用を図っていくこととしております。また、健康面では、長時間のタブレット使用による目の疲れや姿勢の乱れを予防するため、教職員を対象とした研修動画や教室に掲示する教材を作成し、県立学校及び市町村教育委員会での活用を進めているところです。 今後とも、情報モラルや健康面に十分留意しながら、GIGAスクール構想を着実に推進していきたいと考えております。 次に、生徒や保護者の費用負担が生じない取組についてお尋ねがございました。 本県の公立学校においては、小中学校だけでなく、高等学校及び特別支援学校についても国の補助事業等を活用し、家庭の負担なく1人1台タブレット端末の導入を進めているところでございます。これらのタブレットに故障や破損が生じた場合、納入業者との保証契約により基本的に無償で対応されることとなっております。 また、本県では、全ての公立学校の児童生徒が無料で利用できるデジタル教材や動画を備えた学習支援プラットフォーム高知家まなびばこを整備し、本年4月から運用を開始しております。この点につきましても、保護者の負担軽減につながっているものと認識をしております。 一方、タブレット端末の持ち帰りに伴う通信費につきましては、低所得世帯向けに国の支援制度が設けられており、県としてもこの制度を活用して支援を行っているところです。今後も、国の動きを注視しながら、必要な政策提言等を実施していきたいと考えております。 最後に、デジタル教材の活用についてお尋ねがございました。 現在、公立小中学校では1人1台端末を活用し、児童生徒個々の考えや意見を学級全体でリアルタイムに共有したり、友達と同時編集機能を使って資料や作品を共同して作成する授業が行われております。また、ビデオ通話アプリを使って他校や海外の学校との遠隔授業を行ったり、不登校児童生徒や病気療養児がオンラインで授業に参加したりする取組も見られるようになりました。加えて、教員研修におきましても可能な限りオンラインで行うなど、教員の働き方改革にもつながっております。 しかしながら、1人1台端末の活用は本年度から本格的にスタートしたところであり、まだまだICTの活用に不慣れな教員も見られます。そのため、ICTの活用が苦手だからといって効果的な活用がされなければ、授業の質に差が生じることが懸念されますので、全てを教員の裁量に任せるのは適当ではないというふうに考えております。 授業でのICTの効果的な活用場面や方法については、教科会や学年会などで組織的に検討し、児童生徒の理解度や実態に応じて活用を図っていくことが重要です。特に、これからの学校に求められる個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、授業の中で積極的にICTを活用していく必要があると考えます。 県教育委員会では、授業づくり講座等の中で1人1台端末を効果的に活用した授業を研究、提案するなど、授業の質と教員のICT活用力を高める取組に力を入れております。あわせて、全ての学校で取り入れていただきたい実践事例を教職員向けのポータルサイトに掲載し、その普及と活用に努めているところです。 今後も、1人1台端末が子供の学びのツールとして有効に活用され、あわせて教材の共同利用などにより教員の働き方改革が一層推進されるよう、市町村教育委員会や学校と連携しながら、さらに充実した取組を進めてまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) まず、盛土による災害防止のための総点検の対象箇所の内容、箇所数及び中間報告の結果についてお尋ねがございました。 県では、熱海市の土石流災害を受けて、国から示された総点検の方針に基づき、本年8月から市町村と連携しながら、危険な盛土箇所の抽出や点検を進めてまいりました。 点検については、おおむね2000年以降に形成された盛土のうち、団地開発などの大規模盛土造成地や、土砂災害警戒区域の上流域にある盛土など、土砂災害をもたらすおそれのある盛土を対象に、原則目視によって行っております。 点検対象となった盛土は275か所で、その内訳は、大規模盛土造成地が162か所、土砂災害警戒区域の上流域などにある、砂防法などの各種法令で許可を受けた盛土が93か所、住民からの情報提供などで把握した盛土が20か所となっております。 11月末に国へ中間報告を行った段階では、275か所のうち約7割に当たる205か所の点検が完了しており、残り70か所は令和4年2月末までに点検が完了する予定です。点検が完了した205か所のうち、危険性が確認されなかった箇所が203か所、専門家による詳細調査が必要とされた箇所は、高知市の大規模盛土造成地で2か所となっております。 次に、公共工事における建設残土の適切な処理についてお尋ねがございました。 県では、公共工事で発生する建設残土の処理方法について、まずは現場内利用、次に他事業との利用調整、その次に有用残土としての売却の順に検討し、残土の有効利用に努めております。有効利用できなかった残土は処分場に搬出することになり、この場合は、関係法令に抵触せず適正に処分できる場所を発注者が指定しています。また、工事中は施工計画書や管理資料などにより、適切に処理されていることを確認しています。 引き続き、現場内や事業間で有効利用を進めるとともに、処分場への搬出が必要となった場合は適切に処理を行ってまいります。 次に、土砂災害警戒区域などの指定や公表について、またソフト対策の取組状況についてお尋ねがございました。 本県では、土砂災害の発生のおそれのある区域を把握するための基礎調査を令和元年度に完了し、把握した2万9区域について県のホームページで公表しています。これらの区域については、今年度末までに土砂災害警戒区域並びに土砂災害特別警戒区域として指定を完了する予定です。この指定に際しましては、区域内にお住まいの皆様などを対象とした住民説明会等を実施しており、この中で土砂災害の危険性のほか、備えや避難の大切さについても周知を行っております。 また、避難計画の策定や訓練につきましては、市町村が主体的に取り組んでいるところでございますが、県としましても関係部局が連携し、計画の作成や訓練の実施に対する支援などを行っております。さらに、地域の住民の皆様に対しては、土砂災害の防止並びに被害の軽減のため、防災学習会やこども防災キャンプなどの啓発活動を行っており、引き続きこうした取組を通じて地域における防災力の向上に努めてまいります。 最後に、インフラの長寿命化に関する計画策定や点検などに対する国の補助制度を拡充するとともに、自治体の技術者の育成や確保に向けた支援を強化するよう提言すべきではないかとのお尋ねがございました。 インフラの老朽化対策並びに長寿命化は全国的な課題となっております。本県におきましても、橋梁やトンネルなどこれまで整備してきた施設の点検、診断、修繕を計画的に行うことで、将来のメンテナンスコストを抑制する予防保全に転換しているところでございます。 しかしながら、これらの点検、修繕は多大な費用を要することから、財政基盤の弱い自治体にとっては大きな負担となっています。このため、これまでも市町村や各種団体などと共に、予算の確保と制度の拡充を国などに訴えてきたところでございます。今後も引き続き、あらゆる機会を通じて地域の実情を訴えながら、予算が確保され、補助制度が拡充されるように働きかけてまいります。 また、自治体の技術者の育成・確保につきましては、国土交通省が毎年橋梁やトンネルなどの定期点検に必要な知識と技能の習得を目的に研修を開催しています。さらに、国、県、市町村などで構成する高知県道路メンテナンス会議の場などで、長寿命化対策を実施するための課題の解決策について、関係者間の情報共有や技術支援に取り組んでおります。今後も、若手職員や業務経験の少ない市町村職員が経験を積む機会を継続、充実していただけるよう働きかけてまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇)
    ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 持続可能な自伐型、小規模分散型の林業への転換につきましてお尋ねがございました。 林業経営におきましては、間伐実施後、皆伐を行う時期の目安として40年から50年程度、長伐期施業でありましても80年から100年が一般的ですが、それ以上の年数を目安として、超長期にわたり搬出間伐を行う森林所有者の方も多くいらっしゃいます。ただ、原木生産量の面では、標準伐期、長伐期による間伐、皆伐がその大半を占めておりまして、超長期の搬出間伐による生産量は限られているという状況にございます。 また、県勢浮揚に向けましたトータルプランである産業振興計画では、山で若者が働く全国有数の国産材産地を目指すべき将来像として取り組んでおりまして、中山間地域でこうした将来像を実現していくためには、一定規模の間伐や皆伐を進めていく必要があると考えております。 一方、こうした一定規模の間伐や皆伐と土砂災害について明確な相関関係を示すものはございませんが、県では平成24年度には災害防止の観点などから、皆伐と更新に関する指針を作成し、また本年度高知県森林作業道作設指針も改正して、排水を考慮した線形や切土高の抑制を明記するなど、風雨に耐え得る作業道の開設など森林保全に努めているところでございます。 議員御指摘のように、森林には土壌の浸食や流失を防ぐ土壌保全機能や、樹木の根が土砂や岩石等を固定するなどの山地災害防止機能がございまして、これを適切に管理していくことは大変重要だと考えております。このため、森林組合等の事業体による森林整備に加えまして、中山間地域への雇用や移住、きめ細かな森林整備や木材供給等に御貢献いただいている自伐型林業の取組も重要であると考えております。その取組に対して県としましては、安全防具の導入や林業機械のレンタルなどの支援を行わせていただいております。 引き続き、林業事業体による原木増産の振興と、小規模な林業者の育成の取組をバランスよく進めることで、林業・木材産業の振興と中山間地域の活性化、さらには森林の適切な保全管理につなげてまいりたいと考えております。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、補足給付の対象人数、8月の見直しに伴い給付が縮小、除外となった人数と影響についてお尋ねがございました。 低所得の方が介護施設やショートステイを利用した際、自己負担である食費や居住費を軽減する補足給付につきましては、認定要件の収入額や預貯金額の基準が本年8月から変更となり、食費の負担限度額の見直しが行われたところです。見直し前の補足給付の対象人数は令和3年7月末現在で、介護施設の利用者は3,054人、ショートステイの利用者は6,116人、合計9,170人となっております。 今回の見直しで、給付が縮小、除外となった人数と影響につきましては、令和3年10月末時点で介護施設の利用者は縮小が801人、1人当たり月額2万1,300円の増、除外が338人、月額約2万4,000円の増となっております。ショートステイでは、縮小の対象となった方は10月末時点で4,426人となっております。このうち実際にショートステイのサービスを利用した方は、9月では790人、平均的な利用回数の月9回で試算しますと、月額約5,900円の増となっております。また、除外は87人、利用回数を月9回で試算しますと、月額約7,200円の増となっております。 次に、介護保険料の滞納処分と保険給付の制限の状況についてお尋ねがございました。 県が実施した介護保険事務調査では、令和2年4月1日現在、令和元年分介護保険料の滞納者は3,775人です。また、令和元年度に実施された差押えによる滞納処分は、18保険者で393人となっております。 次に、保険給付の制限の状況につきましては、介護保険の利用者が1年以上滞納した場合、介護に係る費用を一旦全額で支払う償還払いが適用になった方は、令和元年度では8保険者で47人です。また、介護保険の利用者が2年以上滞納した場合、その未納の期間に応じて、介護保険の利用者負担額が増える保険給付の減額が適用になった方は、令和元年度では13保険者で96人となっております。 次に、滞納処分を行う現場の状況についてお尋ねがございました。 お話のように、介護保険における滞納処分は、地方税法の例によって市町村において実施をしております。市町村が介護保険料の滞納処分を行う際には、総務省の通知を踏まえ、滞納者の個別具体的な事情を調べた上で対応しており、分割納付など生活実態に応じた保険料の徴収に努めているとお聞きをしております。また、資産や生活の状況によっては、地方税法に基づき滞納処分の執行停止も行っているとお聞きをしております。 最後に、経済的困難にある人が必要な介護を受けられない仕組みを見直すよう国に提言を行うことについてお尋ねがございました。 介護保険料の滞納が1年以上継続すると、費用を一旦全額支払うこととなり、高齢者への負担が生じることとなります。しかしながら、市町村の現場では滞納者と共に分納計画を策定するなど、その方の実情に沿った対応をしているとお聞きをしております。 県としましては、困難を抱えた利用者に対しては関係機関などと連携して解決に向けた支援に努めるよう、市町村や事業者に対し周知を行ってまいります。 ◆36番(米田稔君) それぞれ御答弁ありがとうございました。第2問を行いたいと思います。 最初に、変形労働時間制についてですが、導入した県が今のところ9県ということを聞いています。その9県でこの制度を適用、利用された方は極めて少ないという話も聞いているんですが、例えば四国の高知県以外の3県も導入されていますので、利用実績がもし分かれば、教育長にお聞きしたいと思います。 それから、春の繁忙期の疲れは夏に癒やしてくださいということが目的だといいますが、これは明らかに8時間労働という人類が勝ち取ってきた大原則からいえば、大きな逸脱だというふうに思うんですね。春で疲れたものを夏でどうやってリフレッシュできますか。一番大事なのは、やはり8時間労働を最大限守ると。そして、世界で最大の多忙をしている教職員の働き方を根本から改革するというのが、一番リフレッシュの道だというふうに私は思うんですけれど、全く理由にならない制度の導入だというふうに思うんです。この夏休み、夏の長期の休業のときですけれど、これは改善をすれば現在の制度でも一定の休みは取れるんでしょう。 私が思うのは、教育職員の皆さんの年休取得率、大体分かると思うんですけれど、それを答えてください。皆さん年休取得が十分できなくて、大変な環境の中で仕事をされているわけですよね。私は、まずここを、休みが取れる条件を整備して、夏にもリフレッシュしてもらうということをすべきじゃないかというふうに思うんですが、2つ目、それを教育長にお聞きします。取得率、年休のですね。 それから、もう一つは、これは申し訳ない、通告していないんですけれど、日本弁護士連合会が10月20日に意見書を出していますよね。これは、日弁連が全国の知事宛てに届けて、政府にも届けたりしているんですけれど、学校における働き方改革の在り方に関する意見書というのを出されていますが、仮に県教委としてもこれを受け止めて検討した、あるいは教育長が読んだということであれば、その考え方について感想があればお聞きしたいなというふうに思います。 2つ目は、介護保険です。知事がやむを得ないと言いますけれど、政治というのはやむを得ないではいかんですよね。知事がよく言われる共感と前進というのは、県民、国民が県政、国に対して共感ではなくて、住民の皆さんに行政が寄り添う、共に共感するという姿勢が大事だと思うんですよね。だから、制度は持続可能になっても、一人一人の暮らし、命は持続可能じゃないから今大変なんですよね。私はその点、共感というならば県民一人一人に対するリスペクト、尊敬、置かれた生活実態についてしっかりとやっぱり学んで、何とかできないかという思いこそ政治の原点だというふうに思うんですけれど、これは知事にお聞きしたいと思います。 それと、国の政策が住民税非課税世帯の方に給付金を出しますよね。それとの整合性をどう思いますか。国は大変だからということで給付金出すんですよ。そういう今の流れからすると、当然この介護保険の補足給付の見直しについてもすべきではないというふうに思うんですが、その点は知事にお伺いしたいと思います。 以上、第2問です。 ◎教育長(伊藤博明君) まず、変形労働時間制導入に関して他県の状況、特に四国の他の3県という御質問をいただきました。 四国の他の3県につきましては、全てこの条例改正を既に行っております。そのうち愛媛県と香川県につきましては活用がほとんどなくて、香川県では小学校で1名活用しているというような状況でございます。徳島県につきましては、今県立学校のほうで10校で40名程度が活用しておって、後期にさらに活用を検討している学校があるというような報告をいただいております。 それから、2つ目の教員の年休の取得率ですけれども、申し訳ありません。現在、手元に詳細のデータを持っておりませんけれども、本来最低でも5日は取得しようということを目標に取り組んでおったりしておりますので、ちょっとまだそこには届いておらない状況じゃないかなというふうに思っております。 それから、日弁連からの意見書につきましては、届いたときに私も拝見をさせていただきました。内容につきましては、少人数学級の推進であったり、それから教員の1人当たりの持ち時間の減少であったり、それから教員の正規化といいますか、増員を正職員でというような、そういったような概要だったと思います。 そこら辺につきましては、やっぱりそういった取組については、必要性は非常に--そういう方向なんだろうというふうに思っておりまして、県教委といたしましても、そういった部分につきまして、できることから取組を進めていきたいというふうに思っております。今、そういった姿勢で取組が進んでおると。全てが日弁連の意見書そのとおりということにはなかなかまいりませんけれども、今言いました3点は、大体の柱につきましてはそういった取組の必要性というのはあるんだろうと、そういった方向だろうというふうに思っております。 ◎知事(濱田省司君) 介護保険の補足給付についての再質問にお答えを申し上げます。 ただいま答弁申し上げましたように、介護保険制度ができて20年ほどになりますけれども、やはり高齢化が進行しているという中で、保険料の水準も当初3,000円程度だったのが、今倍の6,000円程度にお願いせざるを得ないという状況になっております。これは国民の皆さんひとしくそれだけの負担をいただかないといけないという状況になっておりますので、今後のさらなる高齢化というのを考えたときに、これを安定的な制度としていくという場合には、見直すべきは見直し、御負担できるところは負担していただくという見直しも、これは避けて通れないという意味で、やむを得ないというふうに申し上げたところでございます。 ただ、ただいま議員からも御指摘ありましたように、対象となっている方、影響のイメージといたしまして、年金収入が月額10万円程度の方で、2万円程度の負担増ということでございますので、これ自身は決して小さい額ではないというのは私自身も感じております。この点についての周知が必ずしも十分でなかったというところは、遺憾なところがあるというふうに思いますし、それぞれの利用者の方々は様々な御事情があると思います。そうした中で、ただいま答弁いたしましたように、これをやむを得ないということで切り捨てるということではなく、そういった方々の御相談に親身になって市町村において応じていただいて、必要であれば福祉であったり自立支援であったり、そういった窓口も御紹介をして寄り添った対応をしていくということが必要であるし、求められると思っておりますので、その点は私のほうからも改めて担当部に、そういった対応を市町村にお願いするように指示をいたしたいというふうに思います。 また、お話がありましたように、今般の経済対策におきまして、住民税の非課税世帯に対します臨時の給付金が措置をされるという方向で議論がされているということでございます。これは、コロナ禍という臨時、異例の状況、経済状況の中で、経済的な苦境に陥っておられる方々に対する支援策として実施をされるというものと理解をしております。介護保険のほうは、これは一時の問題でなくて、将来にわたって安定的な運営が図られなければいけないという、非常に基礎的なインフラ部分でございますので、この点の問題の制度の見直し、恒久的な見直しとは区別をして判断をされるべきではないかというふうに考える次第であります。 ◆36番(米田稔君) それぞれありがとうございます。 変形労働時間制については、県内外からたくさんの要望が寄せられていまして、その一つに、子供たちの前に立つ教員が笑顔でいられるための条件整備が子供たちへの行政の課題です、変形労働時間制は長時間労働を見えなくし、教員の笑顔さえ奪うものですという声もあります。ぜひ、急ぐべきは教員の多忙をどう解決するかというところにありますから、教育行政としての役割をしっかり果たしていただきたいということを要望して、全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後2時35分休憩-----------------------------------   午後3時再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 9番野町雅樹君。   (9番野町雅樹君登壇) ◆9番(野町雅樹君) 自由民主党の野町です。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入ります。 まず、高知版地域包括ケアシステムの構築についてお伺いをいたします。 新型コロナウイルス感染症の第5波では、感染力の強いデルタ株の影響などにより、首都圏を含む多くの都道府県で緊急事態宣言などが発令をされました。本県においても、8月中旬以降新規感染者が急増し、8月27日には初めて国のまん延防止等重点措置の適用を受ける事態となりました。濱田知事をはじめ職員の皆様の御尽力と県民の皆様の御協力によりまして、10月には第5波も収束をし、県内ではこの1か月以上新規感染者ゼロの日が続いており、社会経済活動も徐々に再開をされています。 しかしながら、新たな変異株であるオミクロン株が世界的に拡散をし、県内でも一昨日その濃厚接触者が確認をされております。そうした中、今議会においても第6波への万全の備えを進めるべく、医療提供体制の拡充、ワクチン接種の推進、社会経済活動との両立に向けた取組など、多くの議案が提出をされているところであります。こうしたコロナ禍にあっても、県民の誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることのできる高知県を実現するために、高知版地域包括ケアシステムの構築に向け、不断の努力をいただいております関係者の皆様に敬意を表したいというふうに思います。 現在、あったかふれあいセンターは、31市町村に55か所の拠点施設と283か所のサテライトが設置をされ、高齢者などの身近な集いの場として定着をしております。また、訪問看護・介護などの在宅療養サービスも、県の手厚い支援によりまして利用者が着実に増えているというふうにお聞きをしております。しかしながら、このコロナ禍の2年余りの間には、施設の閉鎖やサービスの停止、また縮小などが余儀なくされ、今、外出自粛などによる高齢者のコロナフレイルや認知機能の低下などが社会問題となっております。こうした中で、事業者や関係団体、また利用者の皆さんは手探りでの活動を続けてきたとお聞きをしております。 さらに、知事の提案説明にもありましたように、中山間地域で将来にわたり在宅療養が選択できる環境を維持していくためには、今後オンライン診療の充実や「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」などのデジタル技術の積極的な導入がますます必要になっているというふうに考えます。 そこで、まず高知版地域包括ケアシステムの構築を進める中で、コロナ禍がもたらした住民サービスへの影響と明らかとなった課題、今後の対応について知事にお伺いをいたします。 次に、政府は11月19日、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策を閣議決定し、その中で新しい資本主義の分配戦略として、新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線で働く看護、介護、保育、幼児教育の職員の皆さんの賃上げを含め、公的価格の在り方を抜本的に見直すこと、また賃上げ効果に継続的に取組を行うということを前提として、収入を3%程度、月額にして9,000円程度引き上げるための措置を来年2月から前倒しで実施するということとしております。県内、特に郡部での介護・看護人材が慢性的に不足をする中、こうした処遇改善というのは、本県の推進する地域包括ケアシステムに関わる多くの方々のモチベーションを高めることが期待されます。 一方で、看護職ではコロナ医療などで一定の役割を担う医療機関に勤める看護師に限定をされることが示されており、関係団体や現場で働く方々からの不満の声も聞かれるところであります。また、同様に介護職でも働く職場によって賃上げに格差が生じるとの懸念の声も上がっております。 そこで、政府が実施をする看護・介護職など、地域包括ケアシステムの最前線で働く方々も含めました賃金引上げに対する評価について知事に御所見をお伺いいたします。 次に、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」の普及促進についてお伺いをいたします。「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」は、在宅医療・介護に係る多職種間で、患者さんの画像、映像などを含む情報を迅速に共有し、各地域で連携体制を構築することを目的として導入をされております。令和元年から2年度に安芸医療圏域でのモデル事業を実施し、本年度からは、その成果を踏まえて県内での普及拡大に取り組んでおり、現在190施設が加入をしているとお聞きをしております。 モデル事業では、課題として、使用に当たっての多職種間での合意形成やルールづくりが必要であること、また高知あんしんネットや各事業所が導入しております介護ソフトなどとの互換性がないため入力が二度手間になるなど多くの改善点も指摘をされております。一方で、今後の地域包括ケアシステムの構築には、こうしたデジタル技術の活用は必須でありまして、ましてやコロナ禍での普及拡大には大いに意味があるというふうに期待をしております。 そこで、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」の普及促進に当たって、特に改善の御要望の多い他の情報システムとの互換性などの改良について今後どのように進めていくのか、健康政策部長にお伺いをいたします。 次に、知事は提案説明において、東部地域における高知版地域包括ケアシステムの拠点施設として、多機能支援施設を整備することと併せて、民間の看護専門学校の遠隔授業が受けられるサテライト教室を設置すると表明をされました。この課題につきましては、私もこれまで本会議において何度も取り上げさせていただき、特に県東部地域における医療人材の不足などにより、大変厳しい状態となっている医療体制の窮状について訴えてまいりました。 一昨々年の9月議会での私の質問に対して当時の尾崎知事から、東部地域の医療をしっかり確保していくためにも、東部における看護師の確保、また卒業後その地域に残る方の割合が低いことや、高齢化が進んでいるなどの問題に正面から取り組んでいかなければならない、県全体において地域包括ケアシステムの構築が求められる中で、東部地域こそ地域包括ケアシステムを担う訪問看護とか訪問介護とかの人材を育成する実践フィールドとして最適とも言えるのではないかとの力強い御答弁をいただいたところですが、今でも私の中にこのことは高揚感を持って残っております。 なお、この問題の発端となりました室戸市では県の御支援もあり、来年6月の開所を目指して新たな診療所の整備が進められております。将来的には、この多機能支援施設や看護専門学校から優秀な介護士や看護師が巣立ち、多職種連携が進むことで、地域に根差した包括ケアシステムの構築がされることを期待しております。 そこで、看護師養成機能も含めた東部地域への多機能支援施設の設置について改めて知事の決意をお伺いいたします。 次に、今回新たに設置をする看護専門学校はサテライト教室とのことでありますが、学習時間や肝腎の実習などの実践的カリキュラムに関して、本校の生徒との格差が生じないことが必要であります。一方、魅力的な教室でなければ学生の確保はできませんので、県としても東部地域で包括ケアシステムを担う優れた人材を育成するための魅力的な教室となるよう支援が必要だというふうに考えます。 さらに言えば、昨年2月議会におきまして上治議員の質問に対して当時の岩城副知事から、看護師養成所を設置すれば解決するというわけではなく、学生の確保、卒業後の地元への定着がセットでなければならないとの答弁もありましたように、設置に当たっては特に東部地域の市町村との連携は欠かせません。 そこで、魅力的なサテライト教室設置への支援と学生の確保、卒業後の地元定着に当たっての市町村との連携についてどのように進めていくのか、健康政策部長にお伺いをいたします。 次に、高知県薬剤師会でも当構想への積極的な参画を希望しているというふうにお聞きをしております。安芸支部では在宅患者への服薬支援である高知家お薬プロジェクトや薬薬連携などの多職種連携にも積極的に取り組んでおり、今回の拠点整備を契機に支部活動の強化が図られるものと期待をしております。 そこで、高知県薬剤師会の支部活動の強化も含め、東部地域での在宅患者に対する服薬支援をどのように強化していくのか、健康政策部長にお伺いをいたします。 次の項目に移ります。ウイズコロナ下での社会経済活動の再開についてお伺いをいたします。 本県でのワクチン2回接種率は12月5日時点で83.8%となり、12月1日からは医療関係者への3回目の接種も始まったところであります。一方で、2年余り続いてきた社会経済活動の制限などによる地域経済へのダメージは、観光、宿泊、飲食など様々な分野で深刻な状況が統いております。 政府は、その出口戦略として、ワクチン・検査パッケージの活用によって、感染拡大下であっても社会経済活動を回していくことを提案し、11月19日には新型コロナウイルス感染症対策本部から、制度の趣旨などを定めた制度要綱が公表をされました。また、先日岸田総理の所信表明演説では、証明書の電子化を12月20日から開始するとの発言があるなど、本格的な運用に向けた準備が進められております。さらに、今議会においてもワクチン・検査パッケージに必要なPCR検査の無料化などの補正予算案が提出をされているところであります。 そこで、次の感染拡大時における本県でのワクチン・検査パッケージの活用場面をどのように想定され、県民への周知をどう図っていくのか、危機管理部長にお伺いをいたします。 次に、県では、本年8月に高知家あんしん会食推進の店認証制度を創設し、その認証を進めております。しかし、感染状況が落ち着いてきたこともあり、飲食店などでは制度への関心が薄れてきたとの声も聞かれます。 そこで、現状の認証状況と今後の認証推進への取組について健康政策部長にお伺いをいたします。 次に、商店街の復興支援についてお伺いをいたします。政府は、飲食業などへの需要喚起のため「Go To Eat キャンペーン」を再開し、県でも「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」や観光リカバリーキャンペーンなどを順次再開しており、最近では商店街や夜の街での人出も一定回復していると実感をしております。 一方で、新型コロナ感染拡大以前から、県内各地の商店街では地域の人口減少、少子高齢化の進行、また大型量販店の進出などによって衰退の一途をたどっており、特に郡部においてはモータリゼーションの進展による高知市などへの顧客の流出などによって、商業集積としての機能低下に拍車がかかっていました。また、さらにコロナ禍を契機としまして、国民の間に新しい生活様式が浸透する中で、巣籠もり需要を追い風にネット通販が急速に拡大し、今後地域の商店街への客足がさらに遠のくことも現実問題として受け入れなければなりません。 県では、平成30年度から県内各地の商店街の振興計画策定を支援しているというふうにお聞きをしております。今後、ウイズ・アフターコロナを見据えた中長期的な復興を考えたとき、この取組は大変重要であり、現在広域組織での策定も含めまして13の計画が策定済みというふうにお聞きをしております。 安芸市においても計画策定に向けたワークショップが開催をされており、市内の事業者や団体、金融機関、高校生など30人以上での活発な意見交換が行われております。地元ならではの発想や若い学生の奇抜なアイデアなどが出される中、既に実行に移されたアイデアも出ているなど、商店街活性化に向けた取組に期待をしております。 そこで、県内の商店街におけるコロナ禍の影響をどのように捉え、ウイズ・アフターコロナを見据えた復興支援をどう進めていくのかについて商工労働部長にお伺いいたします。 次に、コロナ禍で拡大をいたしましたネット通販は、新しい生活様式の一つとしてさらに進化をし、その市場は今後ともますます拡大していくことは確実であります。内閣府の試算によれば、3年後にはその普及率は欧米並みの8割に達するとも言われており、地域の商店街や事業者との競合は避けられません。一方で、全国には、地元の商店街に来なければ購入できない商品や独特の雰囲気、またそこでしか体験できない対面販売のよさなどをデジタル技術を活用して情報発信するなど、人気を集める商店街や地域の事業者も数多く存在をします。 そこで、この項の最後に、コロナ禍で拡大したネット通販との競合をどのように捉え、小規模な事業者が圧倒的に多く、高齢化が進む地域の事業者へのデジタル化をどう支援していくのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 次の項目に移ります。ふるさと納税制度の活用についてお伺いします。平成19年度に始まったふるさと納税ですが、前菅総理が総務大臣の頃、濱田知事も総務官僚としてお仕えをしていた時期に創設をされたものであります。言うまでもなく、この制度は地方で生まれ育ち都会に出てこられた方々が、税制を通じてふるさとに恩返しができる仕組みであります。私は、地方創生の推進にとってこれ以上ない画期的な制度だというふうに考えています。 また、近年は制度の認知度も高まり、当制度の寄附総額は大きく伸びております。総務省のふるさと納税に関する現況調査結果では、令和2年度の全国の寄附金受入れ総額は6,725億円と前年の1.4倍に、また受入れ件数も3,489万件と前年の1.5倍となるなど、コロナ禍での巣籠もり需要の追い風も受け、いずれも過去最高を更新しています。また、本県でもそれぞれ135億円、100万件と過去最高を記録し、本年度もおおむね前年を上回る状況で、この12月は駆け込み寄附シーズンでありますので、各自治体ともその対応に大忙しということであります。 さらに、総務省では都市と地方間の財政力格差の是正を念願に、今後のふるさと納税の規模を1兆2,000億円と想定しておりますけれども、その利用者は首都圏を中心に約550万人と、納税義務者の僅か10%に満たず、さらに利用者が増えることで、その市場規模は2兆5,000億円になるとも言われております。 一方で、新たな制度であるがゆえに、返礼率などをめぐるトラブルや自治体間の行き過ぎた競争が、制度の趣旨を逸脱し社会問題化するなど、制度上の綻びも浮き彫りとなってきました。残念ながら、本県の奈半利町がふるさと納税制度から除外される事態も発生してしまいました。 そこで、総務省出身の濱田知事に、奈半利町のふるさと納税制度における指定の取消処分から得られた教訓と、そのことを踏まえた制度の在り方について改めてお伺いをいたします。 平成29年度には、総務省から返礼率30%以内との新たな基準が示されました。また、令和2年度には企業版ふるさと納税制度が拡充、延長されました。この制度の令和2年度の寄附総額は110億円、活用した自治体も641団体と増えてきておりますけれども、今後さらに大きく増えることが期待をされています。そうした新たなルールを遵守しながら、地域産業の振興や自主財源の確保、さらには我が町のPRにと懸命に取り組んでいる自治体や地域の事業者が圧倒的に多く存在することも忘れてはなりません。 本県においても、寄附額の上位を占める須崎市や芸西村、室戸市、四万十町などでは、様々な工夫を凝らし努力を重ねているとお聞きをしております。一方、県では、各市町村の自主的、主体的な取組を促すため、令和2年度の寄附額も1億3,000万円とやや控え目な印象を受けております。 いずれにせよ、各自治体では寄附金額の約5割が自主財源となり、寄附者が希望する住民への医療、福祉、教育、地域産業の振興などのサービスに活用ができますし、地域の事業者にとっては、返礼品などを通して新たな商品開発やインターネットを通じた全国への販路開拓、雇用の拡大などにもつながることから、まさに三方よしであります。 今、SDGsの考え方が浸透する中、社会貢献への意欲が高まっていること、また地域に足を運んでの体験型や、寄附金の使途を明確化したクラウドファンディング型の返礼品なども人気を集めているというふうにお聞きをしており、今後各自治体での知恵出しによるさらなる進化が期待されるところであります。 そこで、ふるさと納税制度が本県の地域活性化にどのような効果をもたらし、今後当制度の活用をどう捉えているのか、総務部長に御所見をお伺いいたします。 また、新たな返礼品の開発や地域産業振興の視点から、今後のふるさと納税制度の活用について産業振興推進部長にも併せて御所見をお伺いいたします。 次に、ふるさと納税サイト、ふるさとチョイスでは、競い争う競争から、共に創り出す共創へがテーマとなり、全国でも、ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合が設立をされ、自治体同士の学び合いや共同で情報発信を行うなど、自治体間の連携が進んでおります。一方で、近年北海道や宮崎県内など、寄附額上位5位までの自治体が寄附金総額の約6割を占めるなど、自治体による大きな格差が生じており、県内でも同様の傾向が見られます。今後は県内自治体の連携をさらに進めることで、県全体の産業振興や自主財源確保につなげる必要があるのではないかと考えます。 そこで、ふるさと納税制度に関する市町村間のさらなる連携強化に対する支援について総務部長にお伺いいたします。 また、ふるさと納税で頂いた寄附金の使い道の見える化は、寄附者の共感を得ることや参加事業者のモチベーションの向上、さらには国民の制度への理解度を高めるためにも重要なポイントの一つだというふうに考えます。これまでも各自治体ではホームページなどへの掲載は行っているものの、寄附者や参加事業者、また住民などへの周知は十分とは言えないのではないかというふうに思います。 そこで、この項の最後に、市町村が行っている寄附者や参加事業者に対する寄附金の使い道の見える化の現状とさらなる充実について総務部長に御所見をお伺いいたします。 次に、道路整備に伴う交通渋滞や交通事故への対策についてお伺いをいたします。 12月4日、国道33号高知西バイパスが全線開通し、高知市鴨部からいの町波川までが結ばれ、日高村以西へのアクセスがスムーズとなり、仁淀川流域の観光振興や長年の懸案であった、いの町波川周辺の慢性的な渋滞の解消にもつながると期待をされております。 一方で、県内各地で新たな道路の開通などによって、別の場所で交通渋滞や事故が発生しているとのお話もよくお聞きをするところであります。私の地元である芸西村から安芸市内にかけても同様に、近年朝の通勤時間帯の交通渋滞が常態化をしており、国道55号からの抜け道となる村道や市道の近隣住民の皆さんから多くの苦情が寄せられております。 芸西村では、国道55号の流れが悪いことから、狭い村道が抜け道となり、猛スピードでの走行や一時停止違反などが横行し、最近も通学路でもある村道での交通事故が立て続けに発生をするなど、住民の方々の不安の声が日増しに大きくなっております。これまで、芸西村でも安芸警察署や高知県渋滞対策検討部会などと連携し、渋滞緩和に向けた協議を重ねており、11月18日には国土交通省による交通渋滞緩和に向けた社会実験も実施をされたところであります。 そこで、新たな道路整備などに伴う交通渋滞や交通事故防止などの安全対策について、住民などからの要望を踏まえてどのように取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いをいたします。 今回の社会実験では、安芸市など周辺自治体や国、県の出先機関、学校、病院、さらには主な民間事業所などに対して、公共交通機関の活用や時差出勤などの呼びかけを実施したとのことであります。当日、私も渋滞が最も激しい時間帯に現地調査を行い、周辺住民や交通量調査に御協力をいただいた高知工科大学の皆さんにもお話をお伺いしました。交通量などのデータ分析はまだできていないということでありますけれども、それぞれの御意見や私自身の感覚も含めて、その時間帯の渋滞は少なく、交通量が分散され、一定の効果を感じました。 今回の社会実験には、県東部の出先機関や公立病院、学校などにも御参加をいただきましたけれども、これらの職場に勤務する職員数は約1,000人とのことで、そのうち高知市方面から自家用車通勤が最も多いとのことであります。県では、これまでもこうち520運動などを通じた職員の公共交通機関の利用促進、また働き方改革やコロナ感染拡大防止対策の一環として時差出勤も奨励をしております。もちろん、抜本的な解決策は高規格道路の延伸ということでありますけれども、当面の対策として、こうした取組が例えば芸西村から安芸市での交通渋滞の緩和につながるということであれば、県内における同様の交通渋滞緩和にも少なからず効果があるのではないかというふうなことが想定をされます。 折しも、コロナ禍で大変厳しい経営が続いている公共交通機関への支援、またこうち520運動が、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたアクションプランにも位置づけられるという観点からも、ぜひ今回の社会実験の結果にも御注目をいただき、県庁を挙げての実効の上がる取組を続けていただきたいというふうに思います。 そこで、まず尾下部長も自ら、ごめん・なはり線で通勤するなど、率先垂範していただいておりますけれども、コロナ禍で厳しい経営が続く、ごめん・なはり線や路面電車などの公共交通機関の通勤・通学利用者を増やす取組について中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 次に、交通渋滞の解消に向けた取組について、交通渋滞問題も所管をする土木部長に併せて御所見をお伺いいたします。 最後に、農業振興についてお伺いをいたします。 農林水産省は今年の5月25日に、人・農地など関連施策の見直しを公表し、この見直しの方向に基づき、年内をめどに関連施策のパッケージを取りまとめることとしております。見直しの総論として、高齢化や人口減少が本格化する中で、農業者の減少や耕作放棄地の拡大がさらに加速化をし、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念をされる、今後食料の安定供給の確保と食料自給率の向上を図りつつ、輪出の促進、米から高収益作物への転換、スマート農業の実装、マーケットインによる生産、販売、環境と調和の取れた生産など、農業の成長産業化や所得増大を進めていくためには、生産基盤である農地について健全性を図りながら持続性を持って最大限利用されるよう、人・農地及びその関連施策を検討していく必要があるとしております。また、その重要施策として、人・農地プランを引き続きそのツールとして位置づけ、法定化も含めて地域住民への理解の浸透を図るとしております。 そこで、まず本年度末が期限となる県内市町村における人・農地プランの実質化の進捗状況及びいまだに実質化が完了していない市町村に対する支援について農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、現時点で実質化の完了した人・農地プランから明らかとなった課題、そのことを踏まえた今後の取組について農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、県の園芸用ハウスの面積は年々減少しており、県によりますと、令和2年度には1,309ヘクタールとなり、10年前から217ヘクタール減少、また施設園芸農家も5,015戸となり、1,325戸減少するなど厳しい状況が続いております。こうした中、県では本県農業の屋台骨である施設園芸農業を発展させるため、IoPなどの先端技術の導入による生産性の向上を重点施策として推進しており、近年若い担い手や企業の参入も増加をしております。また、県では、その受皿として一定のまとまりのある園芸ハウス用地を積極的に生み出す仕組みを構築し、その整備を進めております。 そこで、園芸ハウス団地の用地確保の取組の状況と今後の推進策について農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、令和元年度の全国の荒廃農地は、農林水産省によると28万4,000ヘクタールで、そのうち約7割の19万2,000ヘクタールが再生利用困難と判断される農地と言われており、近年増加傾向にあります。本県においても荒廃農地が1,949ヘクタールと、耕地面積の約7%となっております。 一方で、人口減少やコロナ禍による景気低迷などで米の消費が減少、2年連続で米価が低迷し、大量の余剰米が発生する事態となっております。そのため、次年度の主食用米の作付面積も需給安定のためには、さらに3万9,000ヘクタール削減することが必要とされております。こうしたことからも、今後荒廃農地のさらなる増加が懸念をされ、園芸農業の推進だけでは農地の有効利用には限界があることは明らかであります。 県では、これまでも農地の基盤整備による多様な担い手への農地の集約や、施設園芸品目以外の露地園芸作物の有望品目の探索などにも取り組んでいますが、今後ユズなどに続く有望な露地園芸品目の選定やその導入に本格的に取り組むことも喫緊の課題だというふうに考えております。 そこで、今後増えてくる荒廃農地対策として、露地園芸作物をどのように振興していくのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、農業分野における燃油高騰対策についてお伺いをいたします。コロナ禍からの世界的な景気回復やコンテナ不足による物流の停滞、また脱炭素に向けた世界の動きに危機感を抱く産油国と消費国との駆け引きなど様々な要因によって、燃油価格が8年ぶりに高騰し、シシトウやピーマンなど高温作物を栽培する農家が悲鳴を上げております。また、施設園芸の増収技術として普及した炭酸ガス発生装置に主に使われる灯油の販売価格も跳ね上がり、導入農家からもその使用をちゅうちょする声も聞かれるなど、技術導入の足かせになることも心配をされます。 また、高知県農協農政会議と自民党県議団との政策懇談会の中でも、燃油高騰対策への強い要請があったところですが、県ではJAと連携をして、国の施設園芸セーフティーネット構築事業や、収入保険制度への加入促進にも精力的に取り組んでいただいているというふうにお聞きをしております。 そこで、国の施設園芸セーフティーネット構築事業や収入保険制度への施設園芸農家の加入状況とその割合がどの程度なのか、また国の取組に加えて県独自での支援策が検討できないか、農業振興部長に併せてお伺いをいたします。 次に、園芸用ハウスの整備コスト低減対策についてお伺いをいたします。このことについては、過去の本会議でも何度か取り上げ、当時の農業振興部長からは、整備コストの上昇は、生産者の皆様の負担増につながることから、入札時期の前倒しや複数ハウスの一括入札の推進、JAグループの統合によるスケールメリットを生かした発注方法やハウスの基本仕様の統一への指導、また国庫補助事業による高強度ハウス整備の要件緩和についての国への提言など、整備コスト低減への前向きな御答弁をいただいたところであります。しかし、近年園芸用ハウスの整備費は下がるどころか年々上昇しており、今回のコロナ禍での高騰というのは別物と考えても、農家や関係者からは厳しい声が上がっております。 また、今後JA全農グループなど参入企業との連携による大規模経営体の育成なども考えられ、その栽培システムの普及や施設整備での連携などについても、今後しっかりと検討していくべきというふうに考えております。 そこで、園芸用ハウスの整備コスト低減に向けたこれまでの成果と今後の取組について、改めて農業振興部長にお伺いをいたします。 最後に、農業分野のグリーン化に向けた取組についてお伺いをいたします。令和元年12月議会において、濱田知事から2050年のカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言をされ、現在具体的な道筋を示すアクションプランの策定が進められております。農業分野においては、これまでも園芸用ハウスへの重油代替加温機の導入を進めてきており、令和2年度にはヒートポンプが3,942台、155ヘクタール、また木質バイオマスボイラーも233台、45ヘクタールに導入をされております。これは、加温ハウス面積の約15%に当たり、導入面積では日本一とのことであります。 しかしながら、数年周期で繰り返される燃油価格高騰時には、エネルギー転換への関心は高まるものの、重油価格が落ち着き、補助制度などの支援策が下火になると、農家の導入意欲も薄れ、その普及面積は伸び悩んできました。一方、本山町では、県の支援を受けて、民間企業による木質バイオマス発電と約1.1ヘクタールの次世代型園芸用ハウスを組み合わせたトリジェネレーションシステムによるパプリカ栽培が始まろうとしております。さらに、高知工科大学においてもIoPプロジェクトの一環として、小規模木質バイオマス発電と総合管理システムの構築に向けた研究が進むなど、先端技術を活用したエネルギー転換への取組が進んでおります。 そこで、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、本県の農業分野では特に施設園芸におけるエネルギー転換を大胆に進めていく必要があるのではないかと考えますが、農業振興部長に御所見をお伺いし、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 野町議員の御質問にお答えをいたします。 まず、コロナ禍での介護サービスなどへの影響などにつきましてお尋ねがございました。 新型コロナの感染拡大期におきましては、あったかふれあいセンターにおいては集いの機能を休止し、訪問や電話による見守りに重点を置いた支援を行っておりました。また、通所介護におきましては事業所の休止や利用自粛などもございまして、通常のサービスに代えて電話による健康状態の確認などで対応したケースもあったというふうにお聞きをしております。 こうした集いの場や通所介護でのサービス提供が難しくなった場合、高齢者の生活全般の活動が少なくなるということによりまして、心身の機能が低下をすることなどが懸念をされております。また、県内の市町村からは、認知症カフェなどの集いの場が休止となったことで、認知機能の低下が見られましたり、精神面で不安定な状態になった方もいたといった話もお聞きをしているところであります。 こうしたことから、これまで介護予防体操のチラシの配布でございますとか、動画をインターネット上で公開するといったことなどによりまして、自宅で運動を続けていただくための取組を行ってまいりました。現在は、感染状況が落ち着いていること、またワクチン接種が進んだことなどもありまして、十分な感染防止対策を実施した上で、継続的に必要なサービスや支援が行われている状況でございます。 県といたしましては、今後とも市町村や関係団体と連携をして、感染拡大時においても必要な支援が行えますよう、ICTのさらなる活用環境の整備といった点も含めまして対応してまいりたいと考えております。 次に、政府が実施を予定しております看護・介護職などの賃金の引上げに対する評価についてお尋ねがございました。 このたびの国の補正予算案におきまして、現場の最前線で働いております看護あるいは介護の職員などにつきまして、収入の引上げによる処遇改善が図られる予定となりました。今回の引上げは離職の防止のみならず、新たな人材確保にも大きく寄与するものと期待をいたしております。 また、民間の春闘に先駆けまして、来年2月から実施をするということなど、コロナ禍で御尽力をいただいています看護師などに配慮した、スピード感を持った対応となっていると考えておりまして、この点についても高く評価をしているところでございます。 一方、問題点といたしまして、対象者や対象施設が限定されるといったような指摘もございます。日本看護協会などの関係団体からも国に対して、対象者の拡大などの要望書が提出されているというふうにお聞きをしているところでございます。 今後、国の公的価格の見直しの議論でございますとか、令和4年度の当初予算編成の過程などを通じまして、この対象者の範囲の考え方についても整理がされてくるというふうに思われますので、まずはその動向をしっかりと注視をしてまいりたいと考えております。 次に、東部地域の多機能支援施設の設置についての決意はどうかというお尋ねがございました。 本県の東部地域におきましては、医療・介護人材の不足が大きな課題となっており、これまで看護学校の設立などにつきまして様々な議論がございました。また、東部地域は県内の他の地域と比べまして、人口当たりの病床数あるいは介護施設が少ないなどといった課題があり、在宅療養の推進が重要となっております。そのため、地元に定着をいたします医療・介護人材の確保とサービス提供事業者への支援が必要だというふうに考えております。 まず、人材の確保におきましては、看護学校のサテライト教室を設置して、地元出身者などを対象に看護師の養成に取り組んでまいります。また、あわせまして看護師の復職支援や就職あっせんなどを行いますナースセンターを設置することにより、看護師の確保に努めてまいります。加えて、この施設におきましては、課題となっております介護人材の養成にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。 事業者の方々の支援といたしましては、訪問看護支援センターや在宅服薬支援の拠点を新たに設けるということといたしております。さらに、在宅歯科連携室や社会福祉協議会なども施設内に配置をするということによりまして、医療・介護・福祉関係団体の連携拠点としての役割も果たしていけるものにしていきたいというふうに考えているところでございます。 この看護学校のサテライト教室を含みます多機能支援施設につきましては、これまでの経過も十分に踏まえて、県がしっかりと前面に立ちまして、市町村と関係機関と連携を図りながら、できるだけ早期に整備ができるように取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、奈半利町のふるさと納税におきます指定の取消処分から得られた教訓、そしてこれを踏まえた制度の在り方についてのお尋ねがございました。 全国的に返礼品の競争が過熱をする中で、奈半利町におきましては返礼品の選定が恣意的に行われるというようなこと、あるいは寄附額の設定についても同様に恣意的な設定が行われたのではないかといったような問題、さらには決裁手続が形骸化をしている、そして組織内での情報共有が不足をしているといったような事態が生じていたというふうに承知をいたしております。 こうしたことが制度のルールや趣旨を逸脱した基準違反の返礼品の提供へとつながったというふうに考えておりまして、例えば地場産品の提供ですとか、いわゆる3割ルールといったルール違反の基準違反の返礼品の提供ということの理由をもちまして、昨年7月に指定の取消処分が行われるということに至ったものであります。 県におきましては、この教訓を踏まえ、各市町村を訪問いたしましての実地調査や意見交換などを行います中で、返礼品の選定手続が適正に行われているか、また意思決定が組織的に行われているかといった点などを確認することとしております。また、国の調査と併せまして、ただいま申し上げましたようないわゆる地場産品基準、そして返礼品割合の状況を確認いたしますほか、必要に応じまして個別に市町村にヒアリングや助言も行って、適正な制度運用を期しているところでございます。 改めて申し上げるまでもございませんけれども、ふるさと納税制度は納税者が税制を通じてふるさとへ貢献できる仕組みができないかという思いの下に導入をされたものであります。したがいまして、納税者は寄附をきっかけに地方行政への関心と参加意識を高めていくということ、そして各自治体は納税者の志に応えられる施策の向上に努めていくということが期待をされます。これによって地域に活力が生まれてくるということが念頭に置かれて、そういったことを意図された制度だというふうに認識をしているところでございます。 こうしたふるさと納税制度の趣旨は、奈半利町の事案をもって否定されるべきでは決してないと考えております。各自治体におきまして良識のある運用によって、こうした制度の趣旨に沿った適正な取組を進めていただきたいというふうに考えているところであります。 私からは以上であります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」の改良について今後どのように進めていくのか、お尋ねがございました。 「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」につきましては、安芸医療圏をモデルとした取組の成果を踏まえ本年度他の医療圏での導入を進めており、令和4年度には県下全域への普及を図るよう取組を進めているところでございます。医療・介護サービス関係者の間で、在宅患者、療養者の情報を写真や動画で迅速かつ正確に共有できることから、例えば医師が本人に会えない状態でも病状の確認ができるなど、効率的な医療や介護サービスの提供につながっております。 一方で、議員からお話のありましたように、入力方法など使い勝手の面で課題があると指摘されているところでございます。こうした指摘を踏まえまして、今後高知あんしんネットや、はたまるねっとなど他の関連するシステムとの連携促進などについて、関係団体等との協議の場を設けて、システムの利便性を高める手段などについて検討してまいりたいと考えております。 次に、魅力あるサテライト教室設置への支援と、学生の確保や卒業後の地元定着に当たっての市町村との連携についてお尋ねがございました。 今回の看護師の養成は、民間の看護学校が遠隔教育システムを用いて授業を行うという、看護教育においては全国初のスタイルとなっております。さらに、本県初の試みである地域包括ケアの構築に資する医療・介護の多機能施設の中に併設し、遠隔教育に必要なICT機器等をあらかじめ整備いたします。 このような設置スタイルにより、学生の時期から身近で医療や福祉の関係者などとの交流を図りながら学ぶことができることは、看護を志す方にとって大きな魅力になると考えております。こうした魅力を強みとして、市町村と連携して東部地域の中高生はもとより社会人の方の入学も意識して、東部地域以外にも幅広く情報発信しながら学生の確保に努めてまいります。また、関係市町村とは高知県東部地域医療確保対策協議会で情報共有に努めるとともに、東部地域での統一的な奨学金制度の創設を併せてお願いしており、県の制度と連動した形で卒業後地元定着への支援策となるよう、引き続き協議検討を進めてまいります。 次に、高知県薬剤師会の支部活動の強化も含め、東部地域での在宅患者に対する服薬支援についてお尋ねがございました。 薬を服用している在宅患者の療養体制を充実させていくためには、薬剤師と医療・介護関係者の連携は欠かせないものだと考えております。しかしながら、東部地域では薬剤師が1人の小規模薬局が多く、患者宅を訪問することが十分にできないなどの課題があり、医療・介護資源の乏しい東部地域ほど、多職種との連携を深めていくことが重要になります。 県では、これまでも高知県薬剤師会安芸支部の薬局と、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」を活用した多職種連携のモデル的な取組や在宅服薬支援、高知家お薬プロジェクトを進めてまいりました。また、今年度からは安芸支部の協力を得て、在宅訪問薬剤師養成研修を安芸市で開催するとともに、来年度はICTを活用して、地域の集いの場と薬局をつないだオンラインでのお薬相談会などの実施を検討しております。 今後は、東部地域への多機能支援施設の設置も見据えて、高知県薬剤師会や安芸支部と連携した取組をさらに進めることで、小規模薬局でも在宅患者の服薬支援に関わることができる体制が整備され、在宅の服薬支援の強化にもつながるものと考えております。 最後に、高知家あんしん会食推進の店認証制度の認証状況と今後の認証推進への取組についてお尋ねがございました。 昨日、12月14日現在の申請数は2,288件、このうち認証済みが1,989件となっております。申請の期限を12月28日から2月14日に延長しまして、より多くの飲食店に認証取得をいただけますよう取り組んでまいります。 来年度についても制度を継続するとともに、SNSなどを活用した新たな広報を行い、さらなる浸透に取り組んでまいりたいと考えております。加えて、既に認証を取得された店舗に対しましては、感染防止対策の基準がしっかり守られているかを再確認するなど、認証店の質の担保を図ってまいりたいと考えております。 こうした取組により、県民の皆様が安心して利用できる、飲食できる環境整備を整えてまいります。   (危機管理部長浦田敏郎君登壇) ◎危機管理部長(浦田敏郎君) 次の感染拡大時におけるワクチン・検査パッケージの活用と県民への周知についてお尋ねがございました。 国内では、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、デルタ株が猛威を振るった第5波においても、2回の接種を終えた方の重症化や感染防止に対する効果が明らかになっています。こうした中、国は感染リスクを低減させることにより、飲食やイベント、移動における行動制限の緩和を可能とするワクチン・検査パッケージを制度化いたしました。 本県といたしましても、次の感染拡大時には、第三者認証を受けた飲食店における利用人数や、感染防止安全計画を策定し県の確認を受けたイベントの収容人数、県をまたぐ移動などについて、パッケージ制度の適用により制限を緩和できるよう、先月県の対応の目安を変更したところであります。 感染防止と社会経済活動の両立を目指し、この制度をより効果的なものにしていくためには、適用を受ける側の事業者の皆様と、利用する側の県民の皆様の双方に、制度への理解を深めていただくことが重要になります。このため、今後の感染拡大時におけるパッケージ制度の適用に当たりましては、市町村や業界団体とも連携し、県民、事業者の皆様に制度が分かりやすく伝わるよう工夫の上、しっかりと事前の周知を図っていきたいと考えております。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、県内の商店街におけるコロナ禍の影響をどのように捉え、支援をどう進めていくのかとのお尋ねがございました。 県内各地域の商店街は、新型コロナウイルス感染症拡大によるネット通販の拡大や人出の激減などにより、商店街全体が大きな影響を受けてまいりました。直近の聞き取り調査では、人通りは一定回復傾向にあるものの、コロナ前の状況には程遠く、商店街の個々の事業者には、長引くコロナ禍の影響が蓄積されているものと認識しております。 このため、県では、これまで商店街振興組合や商店街等の事業者の皆さんへの聞き取りを定期的に行い、融資制度やコロナ禍での商店街のにぎわい創出に向けた支援策を創設するとともに、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えた商店街等振興計画の策定見直しについても支援を行ってきたところです。 今後、計画に位置づけられた商店街のにぎわい創出に向けた取組などが着実かつ効果的に実行されますよう、市町村とも連携しながらしっかりサポートすることで、商店街の復興につなげてまいりたいと考えております。 次に、ネット通信販売との競合の受け止めと、地域の事業者のデジタル化の支援についてお尋ねがございました。 近年、インターネットの普及と相まって商品の販売や流通の形態が大きく変化してきた中コロナ禍で人との接触を避けるため、ネット販売の利用増加に拍車がかかってまいりました。地域の事業者においてもこうしたデジタル化の流れに対応し、新たな顧客の開拓など、事業の継続と成長に向けて取り組んでいくことは大変重要であると認識しております。 このため、県では、本年4月に産業振興センターにデジタル化推進部を新設し、デジタル化を支援する専門人材を配置するなど、県内企業のデジタル化の取組の支援策を一段強化したところです。 お話のありました地域の商店街や小規模事業者においてもデジタル技術を活用し、情報発信力の強化や経営の効率化、顧客サービスの向上などを図ることは重要です。このため、商工会の経営指導員等を対象に、デジタル化のメリットや具体的な事例を学ぶセミナーを開催し、講座の受講者である経営指導員などから経営者に対して、デジタル化に取り組む必要性や意義を伝えていただくことで、高齢化が進む地域の小規模事業者などのデジタル化を促進する取組も進めているところです。 今後、来年度予算の編成過程におきましても、小規模事業者に対するデジタル化の促進や、経営指導員のスキル向上につながる施策のさらなる強化について協議をしてまいります。今後も産業振興センターや商工会等と連携しながら、地域の事業者など小規模事業者も含めた県内企業全般のデジタル化の取組を強化、促進してまいります。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) まず、ふるさと納税制度が本県の地域活性化にどのような効果をもたらし、今後の当制度の活用をどのように捉えているのかについてお尋ねがございました。 県内市町村では、ふるさと納税による寄附金収入が寄附金控除を大きく上回っており、収入の増につながっております。また、議員のお話にもありましたように、こうした寄附金は貴重な自主財源として、子育ての支援、防災対策、観光振興などに活用され、住民の安全確保や雇用の創出といったプラスの効果を生んでいると考えております。 今後、人口減に伴い税収の減も見込まれる本県の市町村にとって、地域活性化策の自主財源を確保するためにもふるさと納税制度の活用は有効であり、ルールを守る中で創意工夫にあふれた取組を一層進めていただきたいと思います。 次に、ふるさと納税制度の市町村間のさらなる連携強化に対する支援についてお尋ねがございました。 全国でふるさと納税の取組が盛んになり、一部の団体に人気が集中する傾向にある中で、納税者の方に県内市町村を寄附先として選んでいただくためには、その制度の趣旨である、各自治体における地域の魅力を高める継続的な取組が重要となります。 そのため、県内においても市町村が連携する取組が行われております。具体的には、12市町村で構成する高知県ふるさと納税自治体連携協議会において、各市町村の特産品を順番に送付する定期便の提供や勉強会の定期的な開催、市町村間でお互いの同意の下近隣の複数市町村による共通返礼品の提供など、市町村が連携して地域の魅力を高める取組が進んでいるところでございます。 県といたしましても、各市町村において魅力的な取組が進むよう、まずは制度本来の趣旨やルールの徹底などについて周知をしてまいります。また、県内または他県の市町村における先進事例を紹介することで、市町村間の情報共有や連携強化を図り、県全体としてふるさと納税制度の取組が進むようサポートしてまいります。 最後に、市町村が行っている寄附者や参加事業者に対する寄附金の使い道の見える化の現状とさらなる充実についてお尋ねがございました。 ふるさと納税を活用する事業の趣旨や内容、成果を明確にお示しすることは、寄附者や参加事業者にとって、より共感が得られるものであり、ふるさと納税の継続的な利用や交流人口の増加、ひいては将来の移住、定住につながっていくことも期待されるものと考えております。 このため、県内のほとんどの市町村では、ふるさと納税の受入額や活用状況等について広報紙やホームページなどで公表し、見える化を実施しているところです。また、寄附していただいた方に対しては、お礼状やメールマガジンなどを通じて継続的な関係を構築するよう取り組んでいる団体もございます。さらに、一部の団体ではふるさと納税新聞として、参加事業者に対し、人気の返礼品やキーワード検索などの情報を定期的に提供している事例もございます。 こうしたふるさと納税を契機とした寄附者、参加事業者と各自治体との縁を継続的なものとする取組がふるさと納税の裾野を広げ、ひいては制度の健全な発展につながるものと考えております。県といたしましては、説明会や実地調査などの機会を通じて、情報発信や情報提供についての優良事例の横展開を図るなど、市町村の見える化のより一層の充実を図ってまいります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 今後のふるさと納税制度の活用についてお尋ねがございました。 ふるさと納税制度では、地域の特産品などが返礼品として活用され、魅力ある返礼品を有する自治体が多くの寄附を集めております。お話にもありましたように、昨年度はその総額が過去最高となるなど、年々国民の関心が高まっているというふうに言えます。 そのため、この制度を活用するには、地域の持つ資源を生かした新たな特産品の開発や、既存の地場産品の磨き上げが重要となります。また、返礼品の中には自然体験メニューなどを加えることもできますことから、地域に人を呼び込む効果も期待ができます。さらに、全国的に運用されておりますふるさと納税サイトを活用することによりまして、特産品のPRができるだけではなく、その自治体の魅力をPRするコーナーもありますことから、幅広い情報発信が可能となります。 このように、ふるさと納税制度は単に寄附による収入増のみならず、特産品のPRや交流人口の増加など様々なメリットが期待できます。議員御指摘のとおり、まさに三方よしの制度でありますことから、地域で頑張っている意欲ある事業者に対しましてアドバイザー派遣などの支援を行い、魅力ある返礼品となる特産品の開発などを促していくことで、全体の底上げを図ってまいりたいというふうに考えております。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 交通渋滞や交通事故防止などの安全対策について、住民からの要望を踏まえどのように取り組んでいくのか、お尋ねがございました。 芸西村における交通渋滞対策については、渋滞箇所はもとより、周辺道路を含めた信号周期を見直すとともに、交通安全対策として、抜け道となる国道と並行する道路における交通指導取締りや街頭指導を強化してきたところであります。 県警察としましては、東部自動車道や高知西バイパスなど新たな道路整備を行うに当たっては、事前に関係機関と協議して交通渋滞などが発生しないよう対策を講じているほか、開通後に交通渋滞などが発生した場合には、信号周期を含めた交通規制の見直しや交通指導取締りなど、必要な交通安全対策を講じているところであり、その際には地域住民の意見等も十分に踏まえて行っているところであります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) ごめん・なはり線や路面電車などの公共交通機関での通勤、通学の利用者を増やす取組についてお尋ねがございました。 今年度上半期のごめん・なはり線の利用者数は、新型コロナウイルス感染症の拡大前の令和元年度に比べ15%の減少、同じくとさでん交通の路面電車は、31%の減少となっております。このうち、通勤、通学の定期利用者数は、ごめん・なはり線で3.1%の減少、路面電車では8.2%の減少となっており、コロナからの回復には至っていない状況です。 こうした中、土佐くろしお鉄道やとさでん交通では、定期利用者の獲得のため、パーク・アンド・ライドをごめん・なはり線沿線で5か所、路面電車沿線で4か所設置し、現在合わせて279台が利用しているところです。また、ごめん・なはり線では、新たに列車での通勤を検討される方を対象に、通勤お試しキャンペーンとして6日間無料で列車通勤を体験できる取組を実施しておりますし、とさでん交通では、路面電車だけでなく路線バスも利用できるお得な通学定期を発売しております。 さらに、県の取組といたしましては、今年度テレビCMや新聞広告などを活用して、県民の皆さんに公共交通に関心を持っていただく公共交通応援キャンペーンを実施したところです。また、議員のお話にもありました、県職員が毎月5日と20日に公共交通を積極的に利用するこうち520運動の取組のほか、安芸総合庁舎に勤務している職員に向けて、列車通勤の呼びかけを行っております。 今後も引き続き、交通事業者などとも連携して、交通渋滞の緩和やカーボンニュートラルにもつながる、通勤、通学での公共交通の利用を促す取組を進めてまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) 芸西村から安芸市にかけての交通渋滞の解消に向けた取組についてお尋ねがございました。 現在、高知東部自動車道の最終出口である芸西西インターチェンジがある芸西村周辺において、通勤時に国道55号東行きで慢性的な交通渋滞が発生しています。当該渋滞箇所の抜本的な対策は、高知東部自動車道のさらなる延伸でありますが、当面の対策を求める芸西村などからの要望を受け、学識者や行政機関等で構成される高知県渋滞対策協議会において、渋滞緩和に向けた検討が行われてきたところでございます。 当協議会での具体的な取組として、お話にありましたように、先月18日、芸西村や安芸市にある国や県などの行政機関や関係事業所への通勤者を対象に、時差出勤、在宅勤務、公共交通機関の利用などの呼びかけを行う社会実験が実施されました。この社会実験による効果の詳細は、現在事務局の土佐国道事務所において検証中でございますが、県としましては今回の対策は一定有効であったと考えており、高知県渋滞対策協議会とも連携の上、このような取組を進めてまいりたいと考えております。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、人・農地プランの実質化の進捗状況と、完了していない市町村に対する支援についてお尋ねがございました。 令和元年度から始まりました人・農地プランの実質化の進捗状況は、本年3月末時点で123地区、1万3,368ヘクタールで実質化されております。市町村別では、6市町村で全地区の実質化が完了、11市町村で一部の地区が完了となっております。現在の状況は、完了していない市町村においても、農業者の意見の集約や地図化による現状の把握は完了しており、おおむね順調に進んでおります。今後の工程としましては、地図を基にした将来の農地の在り方を検討する地域での話合いとその取りまとめが残っております。 引き続き、市町村の進捗状況を確認しながら、地域での話合いを農業振興センターがサポートするなど、年度末には全市町村でプランの実質化が完了するよう、しっかりと支援してまいります。 次に、現時点で実質化された人・農地プランから明らかになった課題を踏まえた今後の取組についてお尋ねがございました。 実質化された123地区の人・農地プランでは、5年から10年後に後継者がいない農地面積が13.2%あり、またその農地に対し担い手の引受け意向のある面積は、僅かに33.5%にとどまっております。その結果、1,000ヘクタールを超える農地において、将来の担い手が未定となっており、新規就農者など新たな担い手確保が、地域における喫緊の課題であることが明らかとなっております。 県としては、今後新たな担い手の確保に向けた取組はもちろんのこと、実質化された人・農地プランをより具体化させ、農業振興の様々な施策へ有効活用していきたいと考えております。そのため、まずは農業振興部の関係各課によるプロジェクトチームを設置し、具体的なプランの活用方法などを検討してまいります。また、市町村やJAなどの関係機関との一体的な取組が必要でありますので、県域の協議会を設立するなど、推進体制を整備してまいりたいと考えております。 次に、園芸ハウス団地の用地確保の取組状況と今後の推進策についてお尋ねがございました。 直近の取組としまして、まず南国市植田地区では、昨年3月に3.6ヘクタールの用地が確保され、公募の結果、四国電力やイチネンホールディングスなど4事業者が参入し、そのうち2者は本年9月からシシトウの栽培が開始されたところでございます。また、南国市能間地区では、国営緊急農地再編整備事業により3.8ヘクタールの用地を確保し、年度内には参入事業者の公募が開始される予定でございます。さらに、栽培に必要な地下水の確保などの条件の整った候補地を持つ香南市と四万十市の2市では、現在地権者などへの説明を行っており、安芸市と高知市の2市では、候補地の絞り込みに向けた地元調整を開始するなど、具体的な取組が進んでいるところでございます。 今後の推進策としては、まずこの4市での取組が着実に進むよう積極的に支援を行ってまいります。また、こうした成功事例の横展開を図っていくためには、市町村とも連携し、地域のニーズや地形条件を踏まえた候補地選定を進めるとともに、今年度末に実質化が完了する人・農地プランも有効に活用し、園芸ハウス団地の用地確保に向けた取組をしっかりと進めてまいります。 次に、荒廃農地対策として、露地園芸作物をどのように振興していくのかについてお尋ねがございました。 本県は温暖な気象条件を強みとして、これまで施設野菜のみならず、ショウガやユズなどの露地園芸作物を含め、地域地域で多種多様な作物を生産することで、農地の有効利用に努めてまいりました。その取組は、結果として荒廃農地の発生防止にも寄与しているものと考えております。 県では、これまで露地園芸作物の生産振興として、ショウガでは土壌の病害防除の新技術による被害の防止、ユズでは優良系統への転換などによる生産性の向上に取り組んでまいりました。一方、さらなる生産振興に向けては、企業参入も含めた多様な担い手を確保し、まとまった規模で露地園芸作物を推進していく必要があると考えております。そのため、現在国営圃場整備事業で進めている南国市では、関係機関と連携し、キャベツやサツマイモなどの大規模な産地化に向けて取り組んでいるところでございます。 さらには、今後実質化される人・農地プランにより、明らかになる中心経営体が地域の実情に応じた営農を展開できるよう、農地の集約や有望品目の導入、省力化や効率化を図るスマート農業の推進などによりまして、露地園芸作物のさらなる振興を図ってまいります。 次に、農業分野における燃油高騰対策についてお尋ねがございました。 ハウスの加温燃料として使用されています重油は、10月の全国平均価格が昨年同時期に比べて約30%上昇しており、農業経営への影響が懸念されています。 県ではこれまでJAと連携し、燃油価格の高騰時に補填金が支払われる施設園芸セーフティーネット構築事業への加入を推進してまいりました。本事業では、1リットル当たりの重油の全国平均価格が発動基準価格の83.1円を上回った月ごとにその差額が補填されます。重油の価格が高騰している今年は、国の2次、3次募集への参加を推進したことで新たに432戸が加わり、現在の加入者は2,563戸、加温面積の約81%となっております。また、農家の収入が過去5年間の平均収入を基に設定した基準収入の9割を下回ったときに、下回った額の9割を上限として補填される収入保険制度の加入者は、11月末時点で894戸、うち施設園芸農家が76%となっております。 一方、国ではこのたびの重油価格の高騰を受け、緊急の経済対策として重油の使用量の削減につながるヒートポンプ等の省エネ機器の導入支援を検討しております。県としては、この国の緊急経済対策を積極的に活用するとともに、国の支援対象とならない農家への支援策について早急に検討してまいりたいと考えております。 次に、園芸用ハウスの整備コストの低減に向けたこれまでの成果と今後の取組についてお尋ねがございました。 県では、これまで入札時期を前倒しすることにより工期に余裕を持たすことや、複数のハウスを一括入札する取組に加え、経営に見合った設備投資の目安を示す冊子の作成などにより、整備コストの低減に努めてまいりました。中でも、園芸用ハウス整備事業における複数ハウスの一括入札については、令和2年度から要件化したところ、落札率は単独入札に比べ5%から19%低減するなど、一定の成果につながっているところでございます。 しかしながら、近年の資材費の高騰に加え、環境制御機器や自動化・省力化装置などの農業者が求める附帯設備費の増加や、工期が短期間で、かつ一時期に集中することによる労務費のアップなど、整備コストは依然として上昇傾向にあります。こうしたことから、県内のハウス業者7社とコスト低減に向けた意見交換を行ったところ、これまでの農地の形状に合わせて整備していたハウスの形を、長方形などの単純な形に見直すことや、発注時期を分散し十分な工期を確保することなどにより、低コスト化が可能ではないかとの御提案をいただいたところでございます。 今後は、複数ハウスの一括入札など、これまでの取組を継続するとともに、従来のオーダーメード型ではなく、ハウス業者の提案による低コストハウスをモデル的に整備し、その効果の検証を行うなど、さらなる整備コスト低減に向けた取組を進めてまいります。 最後に、施設園芸におけるエネルギー転換についてお尋ねがございました。 国は、みどりの食料システム戦略におきまして、2050年までに化石燃料を使用しない施設園芸への完全移行を目指し、2030年までに高速加温型のヒートポンプや高効率の蓄熱、放熱制御などの革新的な技術開発に取り組むこととしております。 施設園芸の盛んな本県にとりましては、施設園芸における化石燃料からのエネルギー転換は重要な課題だと認識しております。このため県では、国の技術開発を待つのではなく、すぐにでも取り組めるCO2の削減効果の高いヒートポンプや木質バイオマスボイラーの導入のほか、より低温でも栽培が可能なピーマンなどの品種開発と普及を進めております。加えて、新たな省エネルギー技術の導入に向け、民間が開発した蓄熱材を活用した廃熱利用技術を施設園芸分野へ応用する実証に取り組んでいきたいと考えております。 こうした取組を一つ一つ積み重ねることで、脱炭素社会に向けた施設園芸のエネルギー転換を図ってまいります。 ◆9番(野町雅樹君) それぞれ御丁寧な御答弁をいただきまして大変ありがとうございました。 2問を1つしたいと思います。総務部長に、ふるさと納税の市町村連携の件です。私が聞き逃したかもしれませんけれども、市町村の自主性に任せるということでなくて、県としてもっと積極的に関わってほしいということだったんですが、その点についてもう一回お願いします。 ◎総務部長(徳重覚君) ふるさと納税制度の市町村間のさらなる連携についてでございますが、御紹介申し上げたのが、既に12市町村で構成している自治体の連携協議会などでいろいろな全国にも先駆けた取組をしておりますので、その場にも県の担当者が参加をさせていただいて、一緒に研究などをして支援をさせていただいているところでございます。そのような取組を今後とも続けさせていただきたいと思っております。 ◆9番(野町雅樹君) ありがとうございます。 それでは、最後に1つ要請をさせていただきたいと思います。施設園芸農業のエネルギー転換につきまして、先ほど御答弁をいただきましたけれども、当面ヒートポンプ、木質バイオマスというお話がございました。ヒートポンプにつきましては、日本の電力の7割以上がいまだ火力発電に頼っているということもございます。今後、日本一の森林県としては、木質バイオマスの活用というのもさらに注力をいただくことが重要なんではないかというふうに思っております。 そのためには、ボトルネックであります原材料の安定供給というのは極めて重要であります。林業振興・環境部あるいは農業振興部の重要施策の一つとして推進をしているということであれば、このカーボンニュートラルの実現に向けまして、重油価格の乱高下に左右されないバイオマスの供給、サプライチェーンの構築に期待をしておりますので、何とぞよろしくお願いをしたいと思います。 これで、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明16日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時29分散会...